2026.06.30 / ぶち上げインタビュー
【ぶち上げインタビュー】東京タワーの見える部屋で、覚悟が決まった。——スウェットウェアブランド.SWORE /MA株式会社 代表取締役 溝蒼生さん

ある4日間が、彼の人生をすべて変えた。
この記事の要点
- 01京都出身、京都でバドミントン選手として全国3位まで上り詰めた青年が、なぜ富裕層向けスウェットウェアブランドを立ち上げたのか。
- 02今は種まきの時期だと思っていて、経営者の方たちとの出会いと、そこからの関係を育んでいくことに全力を注いでいます。
- 03卒業したら絶対起業しようって決めていたんですが、周りの学生起業家を見て「何があるんやろ、俺」って焦り始めて。
※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。
ある4日間が、彼の人生をすべて変えた。
体育館工事で部活が休みになった大学2年の夏。SWOREを率いる溝蒼生さん(24)は、宿も予約せず夜行バスで東京へ向かった。外苑イチョウ並木で一人の男と出会う。フェラーリの助手席に乗せられ、江戸前寿司を食べ、東京タワーが見える部屋で夜中まで語り合った。「こういう世界って、本当にあるんだ——」その瞬間から、溝さんの人生が動き始めた。
京都出身、京都でバドミントン選手として全国3位まで上り詰めた青年が、なぜ富裕層向けスウェットウェアブランドを立ち上げたのか。「自分自身を世界遺産のように扱え」という哲学の裏側にある、23年間のストーリーをお届けする。以下、溝さん(溝蒼生さん)。
会社名:MA株式会社
役職:代表取締役
氏名:溝蒼生
◆ 昭和のぶち上げ男たちが教えてくれた——「世界を舞台にする」という選択肢
——今日はよろしくお願いします。まず、溝さんの事業から教えてください。
溝蒼生さん(以下、溝):今はスウェットウェアの販売をしています。ブランド名はSWORE。まだ正式なローンチ前なんですが、希少生地が故に素材の供給が限られているので、広くマーケティングをかけるフェーズではまだなくて。今は種まきの時期だと思っていて、経営者の方たちとの出会いと、そこからの関係を育んでいくことに全力を注いでいます。
——なるほど。最初から経営者志向だったんですか?
溝:そうですね、根っこはやっぱり祖父の影響が大きいと思っていて。じいちゃんが工業用ミシンの営業マンで、単身赴任でヨーロッパ、アジア、アメリカって、もう全世界を飛び回って仕事をしていたんですよ。定年退職後も会社を設立して輸出業を営んでいました。それを小学校のころから間近で見たり聞いたりしていたので、「かっこいいな」っていうのは自然とありましたね。親戚のおじさんも昭和気質のビジネスパーソンで、家族に自分のロールモデルとなる方がいたことも大きかったです。
◆ バドミントン選手・溝蒼生——全国3位が選んだ「もうひとつの道」
——その後、バドミントンを小学校から大学まで続けられたんですよね。
溝:そうですね。小学校は大阪のジュニアチームに通っていて、大阪では優勝していて。中学は県大会優勝、近畿大会優勝、全国大会は2年連続3位でした。高校は県大会準優勝、近畿大会も準優勝。大学(大阪経済大学)はインカレに1回出て、大阪学生大会では優勝したりです。
——それは普通にすごい実績ですよね。
溝:いや、僕の同級生に今日本代表やってる化け物たちがいっぱいいるんで、自分はそこまでじゃないんですよ(笑)。プロの道は考えなかったかって言うと、考えたこともあったんですけど、高校2年のときにコロナで大会が全部なくなってしまって。実績を積めないまま大学に進学して、自分の気持ちとしては祖父に影響されてた部分が強かったので、「自分で会社を興したい」っていう気持ちの方が強かったんですよね。だからスポーツ推薦で大阪経済大学に入ったんですが、そこは経営学部が強くて、有名な卒業生も多い大学なので、「経営の勉強もできてバドミントンもできる」っていう選択でした。
◆ 焦り、葛藤——「何もない俺」が夜行バスに乗った夜
——大学時代はどんな過ごし方をされていたんですか?
溝:部活と自分のビジネスを持ちたいっていう気持ちって、正直相反するんですよ。キャプテンもしてたんで、部活はやり切らないといけない。でも就職する気は全くなくて。卒業したら絶対起業しようって決めていたんですが、周りの学生起業家を見て「何があるんやろ、俺」って焦り始めて。人脈もほしいし、何もないなって思っていた時期がありました。そんな中、体育館が工事で4日間使えなくなったタイミングがあって。「ここやと思って」、宿も取らずにノープランで夜行バスに乗って東京に行ったんですよ、大学2年の時に。
——宿なしで東京に?
溝:そうです(笑)。とりあえずアンテナを張り続けようと思って、東京中を歩きました。その時は一つのテーマを持っていて、それが「フェラーリに乗っている人がいれば話しかける」でした。小さいころにテレビで見た赤いフェラーリを見てずっと憧れていました。平日だったのですが外苑にいけば見れるかなと思い、ふらっと外苑に行くと一台だけ真っ赤なフェラーリが止まっていました。そこでその人に声をかけたんですよね。話しかける時とても緊張したのを覚えています
◆ 東京タワーが見える部屋、江戸前寿司——「こういう世界が、本当にあるんだ」
——それで、その方と何が起きたんですか?
溝:近づいていくと車の前のベンチで本を読んでいる女性がいて。「フェラーリかっこいいですよね、自分も乗りたいんですよ。」と話しかけたら「私のじゃないですよ、多分あちらの方のものだと思います」って言われて。笑
見ると真っ白のワンちゃんを散歩されていて。後から聞いて分かったのですが、100mくらい離れている所から「絶対話しかけてくるんだろうな」ってバレてたらしいです。笑 当時は何かやりたいだけで何をするかは全く決まっていなかったので、勢いだけで話しかけたので緊張もあって会話の内容はあんまり覚えてないんです。ただ、熱量は伝わったっぽく、15分後には、フェラーリで都内をバーッと走ってくれて。泊まるとこも取ってなかったんで「うち泊まる?」って言ってもらって。その日の夜に江戸前寿司に連れて行ってもらったんですよ。映画とかで見るような、よく出てくるあの感じの。で、家に帰ったら東京タワーが目の前にあって、いいワイングラスでいいワインを飲みながら。夜中までお話して。
——24歳の今では信じられないような体験ですね。
溝:本当に1日で人生が180度変わりましたね。自分から人生を変えに行くとこんなにも世界は広がることを身に染みて学びました。そっからもう一気に、「あ、ここやな、目指すところは」ってなった瞬間に、覚悟が決まりました。このままやったらまずいなって。その方とは今でもよくしていただいていますが、いまだに学ぶ事だらけですね。
◆ 全振りの大学後半——消費をやめて、自己投資だけに絞った
——その出来事の後、大学生活はどう変わりましたか?
溝:とにかくいろんな富裕層と繋がり、いろんな価値観を知りたかったので、高級なところで働こうと思い、そういった場所でアルバイトを始めました。無駄な飲み会には行かない、先輩に誘われるだけの意味のない時間はカットして。それは富裕層の方でも同じで、いくらお金持ちでも人間として尊敬できなければ全く無駄な時間なので断っていましたね。でもシンプルなことだと思うんですよ。、「本当に無駄な時間」と「大切な友人との時間」をちゃんと分けることも大事にしています。
——かなりストイックですね。
溝:僕はストイックな方ではないです。笑 その生き方が正しいと思ったんです。
◆ ハワイ、断念、そして転換——「したいことと、得意なことは違う」
——大学卒業後の動きを教えてください。
溝:大学4年でバドミントンを引退して、10月に1人でハワイに10日間行ったんですよ。飲食店で働いてたので、「ハワイで飲食で起業しよう」ってずっと思っていて。大学二年の時にハワイで飲食をやってるオーナーに何人かDMして、返事をくれた方に実際に会いに行きました。でも話していく中で、「やりたいことじゃないな」って気づいてきて。飲食は経験があっただけ。自分の勘違いでしたね。勝手に強みだと思っていました。なので、本当にしたいことではなかったんですよね。それに気づいたのが大きかったです。
◆ SWORE——「自分自身を世界遺産のように扱え」
——そこからどうやってスウェットウェアブランドに?
溝:衣食住のどれかで起業したい気持ちは持っていたので消去法で衣に。ただおしゃれや服に全く興味がなかったのでどうしようと思いましたが、15年間スポーツばかりしていたのもありスウェットばかり着ていて。遠征行くにもどこへ行く時もスウェットは常に持ち歩いていて、言わば相棒みたいなものなんですよ笑。知り合いはわかると思いますけど、異常なくらい着てますしね。笑 そこからスウェットブランドを立ち上げました。誰かと会うからおしゃれする考えや、ワンシーズンでヨレる→買う→またヨレる。っていうサイクルは本質ではない気がしていて。そうじゃなくって誰かに会うからいい服を着るのではなく、まずは自分自身にいい服を着せてあげよう、いいものを長く着ようというのが僕の持つ価値観です。シンプルに、富裕層ほど、仕事してる人ほど、スウェットを着てることが多いなっていうのを実感していて。自分というものは世界に一つしかないんだから世界遺産のように大切に扱えっていう僕の哲学と、スウェットってなんか着てたら落ち着くじゃないですか。スーツからスウェットに着替えたらなんかホッとしません?笑その点が「自分だけが知っている贅沢」が一致したんですよね。分かりにくいと思うのでまとめると、「自分たちは世界遺産で人生は一度しかないんだから、俺が作る最高のスウェットに包まれて欲しい」っていうことです。笑
それがSWOREの根底にあるコンセプトです。
——今は具体的にどんな動きをしていますか?
溝:今は初めての経験に時間とお金を投資しています。招待制の経営者会合に毎月参加していたり、先々週もモンゴルに10日間行ってきました。モンゴルでは銀座の老舗パン屋さんの社長、Netflixの創業メンバーの方など、すごい方たちとたくさん出会いました。特に今は売上よりも信用残高をあげる事に注力しており、種まきの時期だと思っています。いろんな場所に行って自分の考えを話したりしますが、結局超富裕層の方からすれば元気な青年起業家という印象しか持ってもらえないことが多いと思います。だからこそ少しでも印象に残すために話の引き出し、面白いエピソードを持ってる方が絶対にいい。そのためにいろんな場所に行き、いろんな人と話したりしています。アンテナを張ってたら絶対何か起こりますし、気付けますしね。スウェットの販売活動を行いつつ、長期的に付き合っていけばきっと他にも接する事も増えるでしょうし、そこからビジネスも始まると確信しています。
◆ AIが加速する時代に、「豊かさ」を売る意味
——今後の展望を聞かせてください。
溝:自己理念に基づいて行動していきます。何より今は良い環境があるので、この環境で必死に動きたいと思っています。厳しい環境に落ちてそこから抜け出すのはしんどいですからね。特にブランドビジネスはファウンダーの想いや人生を反映させるプラットフォームだと思うので。今ってAIですごく便利な世の中になっているじゃないですか。それはそれですごくいいと思うんです。でも僕は、どんどん豊かじゃない世界になっていっていると思ってて。AIなんかではなく、結局は自分の目と頭と心で判断しないといけない。今後は豊かさとか幸せとは何かっていうのをもっと考えないといけない時代だと思っていますし、豊かさは大抵非効率の中に眠っていると思います。
——この世代へのメッセージも聞かせてください。
溝:「うまく生きるな。らしく生きろ。」ですかね。自分自身が過去にうまく生きようと必死だったのですが、今思えばその時は全然楽しくなかったですね。 全然 。
今の若者、特に上を目指してる若者はよくSNSでブイブイ言わせてるだけの経営者がよく目に移ると思いますし、どうしても憧れてしまうと思います。ただそこを目指しているうちはクソしょぼいと思ってます。若いうちからいろんな価値観を持っておいた方がいい。世界を見た方がいい。人と比べて目が死んでいたり、悩んでばっかりで行動できていない若者が多いんで。でも可能性はみんな平等にあるじゃないですか。だから僕が先陣を切っていけたらなって思っています。人生ぶち上げチャンネルみたいなコンテンツも、少なからず影響受けてる人多いと思うんで、そういう場所から何かが変わっていったらすごくいいなと思っています。
◆ 会社概要
会社名:MA株式会社
代表:溝蒼生「みぞ あおば」
設立:2025/10/08
事業内容:高品質スウェットウェアの企画・販売
所在地:東京都(品川区)
取材:河本龍真 文:佐藤大遥(株式会社One Rep)
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