2026.05.18ぶち上げインタビュー

ぶち上げインタビュー「スーツは"着るもの"じゃない、"まとうもの"」——図面から仕立てるオーダースーツで、群馬から世界へ挑む男。株式会社はずむ・中嶋隆義さん

「スーツは"着るもの"じゃない、"まとうもの"」——図面から仕立てるオーダースーツで、群馬から世界へ挑む男。株式会社はずむ・中嶋隆義さん

「叶う」って字は、口に十って書くんですよ。

この記事の要点

  • 01同じバスト100でも、胸筋と背筋のバランスは人によって全然サイズ感が変わってきます「胸周りが苦しい」っていう人もいれば、「背中が苦しい」っていう人もいる。
  • 02それで、BNIっていう経営者団体に入って、ビジネスカテゴリーを決めることになったんです。
  • 03——最後に、人生ぶち上げチャンネルを見ている経営者・成長意欲の高い若手にメッセージをお願いします。

※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。

「叶う」って字は、口に十って書くんですよ。

オーダースーツ専門店を群馬・伊勢崎で営む、株式会社はずむ・代表の中嶋隆義さん。インタビューの最中、この言葉を口にした。語り続ければ、夢は叶う。それを身をもって証明しているのが、中嶋さん本人だ。

幼少期は大工に憧れ、工業高校の建築科を経て大手ハウスメーカーへ。配属された現場で「これじゃプラモデル組み立てだ」と職人としての違和感を抱き、20歳の成人式で着たスーツの感動から紳士服業界へ転身。大手紳士服販売店で経験を積み、オーダースーツ店での店舗責任者を経て、一周回って建築業で独立。建築リフォームで1,000万円の詐欺被害に遭い、挫折を味わう。その後建築だけではと思い、軽貨物配達、キッチンカー、脱毛サロン、オーダースーツとさまざまな経験をしてきた。

そして今、夢に掲げた「くりぃむしちゅー上田晋也さんにスーツを仕立てる」が、ついに本当に動き出した。中嶋さんの仕事観、人生観、そしてスーツに込める"目標設定"とは。

以下、中嶋隆義さんへのインタビュー。

プロフィール

会社名:株式会社はずむ

役職:代表取締役

氏名:中嶋 隆義(なかじま・たかよし)

「シワは、体のストレスだ」——図面から起こすスーツの正体

家の図面と同じように、スーツを設計する

——まず、株式会社はずむさんが手がけているオーダースーツの特徴を教えてください。

中嶋さん:うちのオーダースーツは、作り方が特殊で、図面を起こしてから仕立てるんです。家の図面を引くじゃないですか。あれと同じ感覚で、お客様の体型から型紙を図面で書き起こします。

人のスーツのシルエットにシワができる部分って、実はストレスになってるんですよ。例えば、反身体の人もいれば屈伸体の人もいますし、撫で肩や、怒り肩なども。そういう体型の癖でシワが寄って、肩こりにつながったり、印象が悪く見えちゃったりします。体に合っていて上品なスーツって、シワが全く寄らないんですよ。だから僕は、シワが寄る部分を図面に書き起こして、ストレスを消すっていう作業をしてるんです。

——すごいですね。そこまでこだわってスーツを仕立ててらっしゃるのですね。

中嶋さん:そうなんです。同じバスト100でも、胸筋と背筋のバランスは人によって全然サイズ感が変わってきます「胸周りが苦しい」っていう人もいれば、「背中が苦しい」っていう人もいる。そのバランスを全部、図面に書き起こして、その人の着心地を見ていく感じですね。

着るとわかるんですけど、本当に「着てる感覚」がない。だから私はよく言うんですよ。

スーツは"着るもん"じゃない、"まとうもの”だ、って。

「大工になりたい」——幼少期の夢と、現場で感じた違和感

祖父の背中を追いかけて、工業高校から大手ハウスメーカーへ

——幼少期について教えてください。

中嶋さん:実家が大工一家で。祖父が15歳から70年やっていた大工だったんです。幼稚園の頃から現場によく連れていってもらって、家を建ててる姿を見たり、実家の作業場で梁とか柱を「刻む」っていうんですけど、鑿(木材を加工する刃物)や玄翁(トンカチのこと)を使って家の部材を加工する姿を見て、「かっこいいな」って憧れがあったんです。

幼稚園の卒園式で「将来の夢」を一人ずつ発表する機会があって、私は「おじいちゃんみたいな大工になります」って言ったんです。それを今でも覚えてて。祖父もすごく喜んでくれて、近所のお客さんが来るたびに「お前は大工になるんだもんな」って何度も言ってくれた。

それで工業高校の建築科に進んで、卒業後は大手ハウスメーカーに入って大工修行を始めたんです。

——でも、現場に出てみたら、想像していた大工とは違ったと。

中嶋さん:祖父の時代って、本当に手で全部刻んでたんです。でも今って、プレカットになってて、工場で全部部材が加工されてきたものを組み立てるだけ。それが本当にプラモデルみたいな感覚で。

その時に、自分が思い描いてた大工と違って、「もうちょっと職人っぽいことやりたいのに、これじゃただの作業員だよな」って。「ちょっと違うかも」と思ったんです。

「自己肯定感がパキッと上がった」——20歳の成人式で出会ったスーツ

吊るしのスーツに、人生を変えられた瞬間

——大工をやめて、スーツの世界に入ったきっかけは何だったんですか?

中嶋さん:スーツに興味を持ったのは、20歳の成人式の時なんですよ。その時の私はまだ大工をしてて、人生で初めてスーツっていうものを着ました。オーダースーツでもなく、既製品のスーツだったんですけど。

袖を通した瞬間の、自己肯定感がブワッと上がる感覚——「え、スーツってこんなにカッコよく見えるんだ」って。背伸びしてるわけじゃないのに、背伸びしてる感覚というか。女性で言うと化粧みたいな感覚に近いんですかね。男性でも、髪型がバチッと決まる日って、ちょっといつもと違うじゃないですか。

その日一日テンションが上がる感覚があって、「あ、スーツってかっこいいな。これを自分だけじゃなくて、周りの人にも味わってもらえたら、めちゃくちゃ楽しそうだし、やりがいあるな」って。それが原体験ですね。

それで、紳士服業界を学ぼうと思って、畑違いの業界に飛び込んで、大手紳士服販売店に入社しました。そのあと、東京の代官山にオーダースーツのお店があって、そこの社長から「群馬で店舗を出すんだけど、責任者やるか?」って声をかけてもらって、オーダースーツの経験を積める貴重な経験をさせていただきました。

「1,000万円、詐欺で飛んだ」——27歳で迎えた、人生最大の崩落

行政の宿舎リフォーム、ブローカーによる計画倒産だった

——独立された際のお話しをお伺いさせてください。

中嶋さん:紳士服業界に踏み込みましたが、1周回って建築業で27歳の時に独立しました。実は、最初、建築のリフォーム営業を、ピンポンする訪問販売スタイルで個人事業主として始めたんです。割と人と喋るのが好きだったんで、苦じゃなくて。むしろ自分の実力が試せる感覚があって、めちゃくちゃやりがいがあったんですよ。

そしたら大きめの案件が入ってきて。新潟の行政の宿舎をリフォームしないか、と。「人手がなくて、現場をやってくれる人を探してる」って、当時知り合った方から話をもらって、「これから事業を拡大したいタイミングだしいいな」と思って乗っかったんです。

3ヶ月、納期がやばいなかでズルズル伸びながら、なんならお金も対してないので、その宿舎に泊まり込みで。ホラーみたいな場所でしたけど、「終わればお金もらえるし、まいっか」と思いまして。

そしたら、その仕事をくれた会社が飛んだんですよ。

——え、飛んだ?

中嶋さん:計画倒産だったんだろうなって、おそらくあの感じは。経験のない若い人を狙った、計画倒産の詐欺。間にブローカーみたいな人もめちゃくちゃ入ってて、建築あるあるだと思うんですけど。

一緒に働いてくれた職人にもお金を払わなきゃいけないから、もう自分で1,000万円ぐらいかぶるしかなくて。

メンタル的に悲惨な状態になって、しばらく家で体育座りしてました。

「俺なんか6,000万やられたよ」——大先輩の言葉で、メンタルが回復した

「騙される」金額の小ささを知って、もう一度立ち上がる

——その状況から、どうやって立ち上がったんですか?

中嶋さん:建築の大先輩が、相談に乗ってくれて。「1,000万なんて、俺なんか6,000万ぐらいやられた時あったけどさ。もう元取れたから大丈夫だよ」って言ってくれて。

「いやいやいや、笑えない」って思ったんですけど、なんか自分が被った金額がすごくちっぽけに見えて。当時、DJ社長や与沢翼さんとかも借金の話を発信してたタイミングで、「自分が騙された金額って、そんなに大きい金額じゃねえな」って、なんとなくメンタルが回復してきました。

それで、人生で2つの選択を迫られたんです。サラリーマンになって安定を求めるか、茨の道かもしれないけど、もっと攻めて新しくやるか...。

人生は一回しかないから、守りじゃなくて、辛くなるかもしれないけど、ワクワクすることをしたいなって思ったんです。私のロールモデルはアニメの『ONE PIECE』のルフィなんです。自分が楽しいとか、面白そうって思えることじゃないとやりたくない。それが自分の中の人生の理念としてあって。

その時に手伝ってくれた建築の先輩と、暗算十段の数字に強い幼なじみと、3人で合同会社を作って、もう一回建築をやり始めた。28歳の時ですね。

「キッチンカーでボヤ、軽貨物配達の事業、ようやくスーツへ

——その後、合同会社を作ってからのお話しをお伺いさせてください。

中嶋さん:建築の仕事が無くなってきて、仕事どうしようというタイミングで、知り合いの社長から軽貨物事業の話をもらって、売上を立ててました。そこから人が7、8人まで増えて、安定してきたタイミングで、「やっぱスーツやりたいな」と思って。昔の取引先に連絡を取って、大手紳士服販売店時代の上司に協力してもらって、スーツ事業を立ち上げたんです。

夏のスーツの売上が落ちるので、「夏に売れるもの、かき氷じゃね?」って思って、軽貨物の車を改造してキッチンカーも始めちゃいました。けど、スタッフの女の子がホットプレートつけっぱなしにしてボヤを起こして、「もう無理じゃん」って1年で畳みました(笑)。

最終的に、軽貨物・建築・かき氷・スーツ・脱毛サロンの5業種を同時にやってた時期があるんですけど、好奇心が旺盛すぎて散らかしすぎたなと。建築の仕事をやめて、軽貨物の事業は相方に渡して、合同会社から株式会社に組織変更 をしました。

「心が弾むサービスを世の中に提供する」っていう自分の人生理念にかけて、株式会社はずむにしました。

「くりぃむしちゅー上田晋也さんに、スーツを作りたい」——1年半、語り続けたら本当に届いた

経営者団体BNIで決めた"尖ったカテゴリー"が、夢につながった

——インスタに「夢はくりぃむしちゅー上田さんにスーツを仕立てること」と書いてあるのを拝見しました。なぜピンポイントで上田さんなんですか?

中嶋さん:20代の頃、パーティーの司会をやらせてもらう機会が結構あって。その時に憧れてたのが、芸人の上田さんっていうよりも、MCをやってる上田さんだったんです。あの話す技術とツッコミのキレ、人間性、人を立てる様子、全部が憧れだった。

それで、BNIっていう経営者団体に入って、ビジネスカテゴリーを決めることになったんです。BNIは1チーム1業種しか入れないんですけど、「オーダースーツ」だと普通すぎてつまんないなと。お世話になってるコンサルの方に「漫才師に特化したスーツとかどう?」って言っていただいて、「正統派漫才師専門オーダースーツ」っていうカテゴリーで登録しました。

その時に、「実は、くりぃむしちゅーの上田さんが超好きで。このカテゴリーでずっと突っ走っていったら、たどり着くかもしれないので、夢として語ります」って言い始めたんです。

それを、いろんな場所でも、ずっと語り続けて。

——それが本当に届いたんですよね。

中嶋さん:そう。BNIのフォーラムで僕が語ってたのを、本部の方が見てくれて。「くりぃむしちゅーの上田さんのお兄さんとつながってる、熊本の方がいるよ」って紹介してもらって。1ヶ月くらい前、実際に熊本までお会いしに行ったんです。

ただ伝えるだけだと埋もれるから、「手紙書ける?」って言われて、本人に渡す用の手紙を書いて。地上波で「正統派漫才師専門オーダースーツ」として出させてもらった時にも上田さんの話をしている動画も、お兄さんに見てもらって。

それで、本当につい3日前なんですけど、上田晋也さんご本人からお兄さん経由で連絡が来たんです。

中嶋隆義様

はじめまして、くりぃむしちゅー上田晋也です。この度はご丁寧なお手紙をありがとうございます。お褒め頂く様な人間ではございませんが、大変光栄で、凄く励みになりました。これからも頑張らせて頂きます。

スーツ、是非お願い致します。その時のために、もうちょっと痩せて、もうちょっと筋肉をつけて、体を作っておきます!楽しみにしております。

暑かったり、ジメジメしたり、となかなか天気が安定しませんが、くれぐれもご自愛下さい。

夜だったんですけど、テンション上がって、目の前にいた嫁にめちゃくちゃ話して、「やばいんだけど」って(笑)。

語り始めて1年半くらい。「叶う」って字は、口に十って書くじゃないですか。マジで「叶う」って言えば言うほど叶うんだなって、心の底から思いましたね。

「群馬を、スーツのミシュランにする」——目指すのは、自社縫製工場とアトリエ型店舗

"日本の旗所"群馬から、世界へ届ける

——これからの展望を聞かせてください。

中嶋さん:これからのオーダースーツ業界って、AIが進化して、自販機みたいになると思うんですよ。ポンポン押したら、数週間後にスーツが送られてくる、みたいな。

私は、その逆を行こうと思っていて。

今はイージーオーダーを外注で作ってますけど、これを限界までフルオーダーに近づけたいんですよ。フルオーダー(手縫いで型紙を1から作成)となると値段が高すぎてお客様が手が出せなくなってしまうので、極限までフルオーダーに近づけたイージーオーダーを実現させたいんですよ。そのために縫製工場を自社で作りたいんですよね。職人さんを雇って、店舗の真横にガラス張りの縫製工場をくっつけて、スーツを作ってる職人の手元が見える。飲食店でオープンキッチンで料理を作ってるところが見えるのと、同じ感覚で。

そういうアトリエみたいな空間を作るのが、今の私の夢です。

——拠点は、東京には移さないんですか?

中嶋さん:考えた時期はあったんですよ。でも、東京に行くことが本当に正解なのか。みんな出張採寸で東京に行くじゃないですか。

私はその逆で本当にいいものは、どんなに高くても、どんなに遠くても、欲しい人は現地まで行くと思うんですよ。だから自分が出向くんじゃなくて、わざわざ来てもらえるような空間、ブランドを作りたい。

群馬って、昔から「日本の旗所(はたどころ)」って言われてて、繊維がすごく有名なんです。富岡製糸場もあるし。地元の素材を使って、世界中から「あそこのスーツを作りたい」って人が足を運んでくれるような場所を作りたい。

「結果にコミットする、オーダースーツ」——MDRTがTOTに、車買取が売上10倍に

スーツは、目標設定そのもの。だから人生が変わる

——最後に、人生ぶち上げチャンネルを見ている経営者・成長意欲の高い若手にメッセージをお願いします。

中嶋さん:私自身が波乱万丈な人生で、今でも絶賛波乱万丈中なんですけど(笑)。同じように苦労されてる経営者の方ってたくさんいると思うんで、業種は違っても同じ苦労人として、一緒に経済を盛り上げていけたらいいなと思います。

あとは、私の仕事、オーダースーツって、人の印象を上げていくのが目的なんですけど、ライザップじゃないですけど、結果にコミットしたスーツを作ってるんですね。

私の中で、オーダースーツを作る時の目的は"目標設定"なんですよ。その人がどんな夢に向かっていて、どんな目標を叶えたくて、どう人から見られたいか、そこをヒアリングした上で仕立てる。だから本当に、結果が出るスーツになる。

実際、もともとMDRT(保険業界のトップ営業の称号)だった保険営業マンが、うちのスーツを着てTOT(MDRTの上位ランク・Top of the Table)まで上り詰めたとか。車買取の会社さんが「売上10倍になりました」って報告してくれたりとか。

「あんまりセンスないんですよね」って言ってた工務店の社長さんが、何着か着回したら、「こんなおしゃれな人だったら、おしゃれな内装を作ってくれそう」ってお客さんの反応が変わって、仕事につながった話とか。結婚相談所の会員さんで、コーディネートしてあげたら3ヶ月で成婚した方もいます。

見た目を変えると、意識が変わって、行動が変わって、結果が変わって、人生が変わる。

私自身、上田さんに「スーツを作りたい」って語り続けて夢を叶えた人間なんで、うちのスーツを着れば、その人の夢ややりたいことも叶う方向に動き出すよっていうのを、今だったら言い切れる。

そんなサポートが、これからもっとできたらいいなと思っています。

会社概要

会社名:株式会社はずむ

設立:2018年8月

代表:中嶋 隆義

事業内容:オーダースーツ事業、メンズ脱毛サロン事業

所在地:群馬県伊勢崎市

取材・文:黒澤優一(株式会社One Rep)

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