2026.07.25ぶち上げインタビュー

ぶち上げインタビュー「利益より、社員の暮らしを守りたい」——バイクレーサー、ボートレーサーを経て辿り着いた看板屋経営の29歳社長。株式会社SignTop・髙橋永大さん

「利益より、社員の暮らしを守りたい」——バイクレーサー、ボートレーサーを経て辿り着いた看板屋経営の29歳社長。株式会社SignTop・髙橋永大さん

「会社の利益は、そんなに残らなくてもいい」。大阪市旭区で看板の制作・施工を手がける株式会社SignTop代表・髙橋永大さんはそう言い切る。24歳で独立し、法人化2期目にして年商1.5億円。従業員の待遇を最優先にしながら、業界でも珍しい"顔の見える看板屋社長"としてSNS発信を続け、全国から問い合わせが届くまでになった。

この記事の要点

  • 01そんな髙橋さんが、なぜ今、看板屋の経営者として走り続けているのか。
  • 02バイクのプロを目指すなら看板屋として起業した方がいいと思って、「起業したいので辞めます」と会社に伝えたんです。
  • 03髙橋さん:売上や会社規模を大きくしようという思いだけでやると、従業員さんが疲弊するような動き方になると思うんです。

※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。

「会社の利益は、そんなに残らなくてもいい」。大阪市旭区で看板の制作・施工を手がける株式会社SignTop代表・髙橋永大さんはそう言い切る。24歳で独立し、法人化2期目にして年商1.5億円。従業員の待遇を最優先にしながら、業界でも珍しい"顔の見える看板屋社長"としてSNS発信を続け、全国から問い合わせが届くまでになった。

幼少期から空手、陸上、そしてバイクレースと、常に何かに没頭してきた髙橋さん。一度はプロのバイクレーサーを、次いでボートレーサーを目指すも、いずれも道半ばで方向転換。二代目である父の背中を見て育ちながらも、看板屋を継ぐ気は全くなかったという。そんな髙橋さんが、なぜ今、看板屋の経営者として走り続けているのか。以下、髙橋さん。

プロフィール

会社名:株式会社SignTop(サイントップ)

役職:代表取締役

氏名:髙橋永大(たかはし えいだい)

看板・テント・外壁洗浄。3本柱で走る20代社長

取り付け専門の一人職人から、9人の会社へ

——まず、事業内容を教えてください。

髙橋さん:もともとは看板職人として、いろんな看板屋さんから声をかけていただいて、現場に行って取り付けするだけの、フリーランスのような働き方を1年半、2年ぐらいやっていました。ただ、職人の仕事はどうしても時間の切り売りで、この先ずっとは続けられないなと思って、看板の制作・施工を一式でやる会社にシフトしていったんです。今はテントの工事や外壁の洗浄もやっていて、外壁洗浄はフランチャイズに加盟して大阪店をやらせてもらっています。現状、常駐の施工スタッフ、制作スタッフ、営業や新規事業の立ち上げを共にしているナンバー2がいて、僕を合わせて9人。人が足りない時は外注の職人さんにも入ってもらっています。

空手、陸上、そしてバイク。何かにのめり込み続けた少年時代

好きじゃないと本気になれないタイプ

——子どもの頃はどんな性格でしたか。

髙橋さん:大阪市旭区で生まれ育って、幼稚園の年少の時に極真空手を始めて9年間やりました。中学に入ってからは陸上競技で三段跳びをやって、中高6年間続けたんですけど、高校でバイクに乗り出したら、そっちにのめり込みすぎてしまって。陸上部の顧問には「辞めたい」って伝えたんですけど、「とりあえず残れ」と引き止められて、結局試合の直前だけ練習に行って試合に出る、みたいな感じになっていました。もともと運動はできる方だったので、それでもある程度の大会には出られていたんですけどね。空手も陸上も、正直そこまで好きじゃなかったんです。好きじゃないと本気になれないタイプなんだと思います。

バイクレースでプロライセンス、そしてボートレーサーへの挑戦

19歳で始めて2年半でチャンピオンに

——高校卒業後の進路を教えてください。

髙橋さん:工業高校の電気科で第二種電気工事士の資格を取って、先生の勧めでエスカレーターとエレベーターの点検会社に就職しました。ただ、働きながらバイク仲間に誘われてサーキットを走ったら初めてのタイムが速くて、レースチームから声がかかったんです。19歳でバイクのレースを始めて、2年半後には岡山国際サーキットのシリーズチャンピオンと近畿のシリーズチャンピオンを取って、国際ライセンス、いわゆるプロのライセンスも取得しました。バイクのプロを目指すなら看板屋として起業した方がいいと思って、「起業したいので辞めます」と会社に伝えたんです。当時の上司には「お前に出来る訳が無い」と笑われましたね。

——そこからボートレーサーを目指したそうですね。

髙橋さん:会社を辞めたあと、父とは別の看板屋さんに就職して、2年ぐらいは働くつもりでいました。ただ、9ヶ月ほどの修業期間中に、レースの成績をボートレーサーの養成機関に送ったら、スポーツ推薦がもらえるかもしれないと言われて。当時調べたらボートレーサーの平均年収が1600万円で、バイクのレースも休みの日に続けられるかもという軽い気持ちで応募したら、実際に推薦をいただけたんです。ボートレーサー試験時、職場に融通を利かせてもらえるか頼んだんですけど、「そんな中途半端なことするなら辞めろ」と言われて退職して、対策をして試験に合格し、柳川のボートレーサー養成所に入りました。でも実際に入ってみたら、想像していた世界と全然違って、上下関係がめちゃくちゃ厳しくて。それに、体重制限も厳しく、美味しい物も食べれなく、自分の体格にはあってないなと感じ、これは嫌だなと思って1ヶ月で辞めて帰ってきました。

方向を見失った先で、看板の道を選んだ

父の背中を見ても、継ぐ気は一切なかった

——そこからどうやって看板屋にたどり着いたんですか。

髙橋さん:養成所を1ヶ月で辞めて帰ってきて、自分で判断したこととはいえ周りには「ボートレーサーに絶対なる」と宣言してしまっていたので、正直ちょっと自信を失っていました。2週間ぐらい休んで、暇だし働きたいなと思って、父がやっている看板屋を手伝い始めたんです。ただ、実家は看板屋でしたけど、父からは「看板屋にはならなくていい、大変だから」とずっと言われていましたし、僕自身、工場の様子もろくに知らずに育ったので興味もありませんでした。中学の進路希望調査には「公務員」って書いたぐらい、自己理解ができていなかったんです。父の背中を見て継ぎたいと思ったことは一切なくて、むしろ幸せそうに見えなかったので、やらなくていいかなと思っていたぐらいでした。父と一緒にやり出しても結局それぞれバラバラに動いているような状態で、これをやってる意味がないなと思って、独立して自分でやるという話をしたんです。約1年半ほど父の手伝いをしたのち、令和4年、24歳の時にSignTopとして独立しました。

会社の利益より、社員の暮らしを守りたい

「そういう体質の会社にはしたくない」

——経営で大切にしている考え方はありますか。

髙橋さん:売上や会社規模を大きくしようという思いだけでやると、従業員さんが疲弊するような動き方になると思うんです。そういう体質の会社にはしたくないというのが強くあります。できる限り土日祝は休んでもらえるようにしていますし、月給でしっかり給料を払える状況にしています。これは多分、建設業の中でも看板屋だからできることだと思っています。

——今の社員はどうやって集まったんですか。

髙橋さん:募集はかけていなくて、周りが紹介してくれたり、相談が来たりして自然と増えていきました。ナンバー2の方は、もともとの取引先の会社から未払いを350万円ほど食らったことがあったんですが、従業員さんと仲が良かったんです。その人にその会社にいない方がいいですよ、何かあったら相談に乗りますよと軽く伝えていたら、半年後ぐらいに連絡が来て、うちに来てくれることになりました。

SNSで、看板屋の顔を出す

秋田県からも仕事の依頼が届くように

——SNS発信の手応えを教えてください。

髙橋さん:最近、秋田県の仕事の連絡が来たんです。会社のアカウントで秋田の看板屋さんに協力してもらおうと投稿したら、3、4社から連絡が来ました。認知が取れているからこそ、SignTopの仕事なら一回聞いてみようと思ってもらえているわけで、SNSの手応えを本当に感じています。依頼してくださった方から「SignTopさんに頼みたいから他は考えていません」と言っていただいたり、「社長と会いたいです」と言っていただくこともあって。看板屋の社長でしっかりブランディングできている人が今のところゼロなので、その枠を取りたいという思いもあって、会社のアカウントだけでなく社長個人のアカウントも今、力を入れて発信しています。

看板屋を、適正な価格で全国に届けたい

減っていく職人、変わらない市場規模

——今後の展望を教えてください。

髙橋さん:屋外広告業の市場規模は2021年から0.3兆円で横ばいなんですけど、看板の制作・施工をしている会社さん自体は減っていっているんです。需要はそのままなのに供給者が少なくなっていく。だからこそ、看板をやりたいと思う人をまず増やしたいですし、全国どこであっても、僕たちSignTopがしっかり適正な価格で看板を提供できるような体制を作っていきたいと思っています。そのために今、SNSでの発信をしていますし、お客さんにとって本当に何が必要なのかを常に考えています。

チャレンジしたい若者へ

「今の仕事をまともにできてない」と言われても

——一歩を踏み出せない若者へ、メッセージをお願いします。

髙橋さん:エスカレーターとエレベーターの点検の仕事を辞めて看板の世界で独立すると伝えた時、当時の上司には「お前ができるわけない」「今の仕事をまともにできてないよ」と言われました。でも今、僕はこうやって看板屋を経営しています。特別な会社で働いているとか、そんなことがなければ、チャレンジしてもいくらでも元の場所に戻れるんです。でもチャレンジしないと絶対にいい結果は得られません。リスクを負いすぎるチャレンジはよくないと思いますけど、失敗しても同じような給料の会社に戻れるんだったら、全員チャレンジした方がいいと思います。僕自身、ボートレーサーには結果的になれなかったので世間一般で見たら失敗に見えるかもしれませんが、その時の経験は絶対に自分の中に残っていて、今も活かせているものなんです。

会社概要

会社名:株式会社SignTop(サイントップ)

法人設立:2024年6月

代表:髙橋永大

事業内容:看板の企画・製作・施工、テント工事、外壁洗浄

所在地:大阪府大阪市旭区中宮3丁目14番13号

取材・文:佐藤大遥(株式会社One Rep)

#経営者インタビュー#看板屋#テント屋#大阪#SignTop#人生ぶち上げch

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