2026.06.14 / ぶち上げインタビュー
【ぶち上げインタビュー】高校教師を辞めて、M-1出場と起業を選んだ男。「人生は証明ゲームじゃない。創造ゲームだ。」株式会社Youmore・代表取締役・岡部真さん

株式会社Youmoreの代表・岡部真さんは、個人と組織に向けたコーチング事業を営む経営者だ。ビジョンは「挑戦が常識に。」。しかし岡部さんが考える挑戦とは、単なる起業や転職ではない。
この記事の要点
- 01株式会社Youmoreの代表・岡部真さんは、個人と組織に向けたコーチング事業を営む経営者だ。
- 02今回は、そんな岡部さんに、人生の原点から最も苦しかった経営の局面、そして人生観が大きく変わった転機についてうかがった。
- 03例えば、 売上を上げたいと言いながら断られるのを避けていたり、 挑戦したいと言いながら失敗を恐れていたり、 自由になりたいと言いながら周りの期待に合わせていたり。
※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。
頑張っているのに、思っているほど成果が出ない。——その違和感から、本当の人生が始まった。
株式会社Youmoreの代表・岡部真さんは、個人と組織に向けたコーチング事業を営む経営者だ。ビジョンは「挑戦が常識に。」。しかし岡部さんが考える挑戦とは、単なる起業や転職ではない。
「本当はもっとできるはずなのに動けない」
「能力はあるのに思ったほど成果が出ない」
「頑張っているのに、なぜか同じところでつまずいてしまう」
そんな人たちが、自分でも気づいていないブレーキを外し、本来の力を発揮できる状態を増やしたい。ライフコーチングやビジネスコーチング、コミュニティ運営などを通じて、一人ひとりの可能性に火を灯している。
「幼少期に抱いた「自分には個性がない」という劣等感。小中高と万年補欠だった野球。3年目でようやく合格した教員採用試験。吉本興業に行くか、起業するか迷って、安定を捨てての起業とM-1出場を決意。最初の4か月は売上ゼロ。そして経営者として経験した大きな挫折。」
学び続け、行動し続け、結果を追い続けた先で岡部さんが辿り着いたのは、「もっと頑張れば人生は良くなる」という考えではなかった。
人生を止めているのは能力不足ではなく、自分でも気づいていない思い込みや恐れかもしれない。
そして人生とは、何かを証明するためのゲームではなく、自分が本当に望む人生を創っていくものなのだという感覚だった。
今回は、そんな岡部さんに、人生の原点から最も苦しかった経営の局面、そして人生観が大きく変わった転機についてうかがった。
いま手がけているのは、人の可能性を解放する仕事——コーチングという天職
頑張っているのに成果が出ない。その原因を一緒に見つける
——まず、今の事業内容を教えてください。
岡部さん:コーチングの会社をやっています。
個人の方にはライフコーチングやビジネスコーチング、コミュニティ運営などを提供しています。法人向けには組織開発やチームづくりの支援も行っています。
掲げているビジョンは「挑戦が常識に。」です。
僕は営業マンや経営者の方と話すことが多いんですが、みなさん本当に頑張っているんですよ。
勉強もしている。
行動もしている。
自己投資もしている。
でも、本人が思っているほど成果が出ていないことがある。
「もっとできるはずなのに」
「なんで結果が出ないんだろう」
そう感じながら頑張り続けている人がすごく多いんです。
——その原因は何だと思いますか?
岡部さん:もちろん知識やスキルの問題もあります。
でも、それ以上に多いのが、自分では気づいていない思考や行動のクセなんです。
例えば、
売上を上げたいと言いながら断られるのを避けていたり、
挑戦したいと言いながら失敗を恐れていたり、
自由になりたいと言いながら周りの期待に合わせていたり。
本人は気づいていないんですが、無意識にブレーキを踏んでいることがある。だから僕は、テクニックを教えるというより、その人が本来持っている力を発揮できない原因を一緒に見つけることを大切にしています。
——岡部さんの強みは、どんなところにあると思いますか。
岡部さん:よく「問いが鋭いですね」と言われるんですが、僕自身は問いそのものが強みだとは思っていません。
問いは入口なんです。
僕が本当に見ているのは、その人が無意識に握りしめている前提です。
「もっと頑張らないと価値がない」
「結果を出さないと認められない」
「期待に応えなければならない」
そういった前提が、その人の選択や行動を決めていることがあります。
問いを通して、それに気づいてもらう。
そして、本当に望んでいる方向に進める状態をつくる。
高校時代も教師時代も、僕はずっと人の話を聞いてきました。
でも今振り返ると、やりたかったのはアドバイスではありませんでした。
その人自身が、自分でも気づいていなかった可能性を思い出す瞬間に立ち会うことだったんだと思います。
だからコーチングは、僕にとって天職ですね。
「自分には個性がない」——劣等感から始まった人生 何者かになろうとし続けた少年時代
——子どもの頃のお話からうかがえますか。
岡部さん:僕のルーツは、幼少期の劣等感なんですよね。
初恋のあゆみちゃんっていう子がいて、その子が親友の大輝のことを好きなんだと勝手に思い込んだんです。大輝は運動神経抜群で見た目もいい、いわゆる“主人公”タイプ。それに対して当時の僕は、自分には何の取り柄もないと思っていました。
「自分には個性がない」
「自分は主人公にはなれない」
そんな感覚がずっとあったんです。
しかも父は自由人で、僕が小さい頃はほとんど家にいなくて。母も夜まで働いていたので、毎日一人で留守番をしていました。
だから今振り返ると、「認められたい」「必要とされたい」という気持ちは人一倍強かったと思います。
当時はそんなこと言語化できませんでしたけど、自分の価値を証明したいという気持ちが、ずっと心の奥にあったんですよね。
——そこから、どうやって自分を立て直していったんですか。
岡部さん:小中高とずっと野球をやっていたんですが、万年補欠でした。
当時は本気で、「体が大きい人や才能がある人が主人公で、自分みたいな人間は脇役なんだ」と思っていたんです。
でも、アニメの『メジャー』に出会って変わりました。
「努力すれば主人公になれるかもしれない」
そう信じられたんです。だから誰よりも練習しました。
当時の友達に「一番練習したのは誰?」と聞いたら、たぶん僕の名前を挙げると思います。それくらいやりました。
結果として野球で大きな成果が出たわけではありません。
でも今振り返ると、その頃からずっと「何者かになりたい」と思っていたんですよね。そして、その感覚は野球を辞めても続いていました。
勉強も、教師も、起業も。
形は変わっても、どこかで「自分には価値があると証明したい」という思いが人生を動かしていたんだと思います。
教師を志した理由は、「人生を変える力を伝えたかった」から 思考は人生を変える。でも、それだけでは足りなかった
——進学後、教員を目指された原点はどこにあったのでしょう。
岡部さん:いくつかあるんですけど、一つは、それまでの人生で「いい先生」に出会えなかったことです。
もちろんお世話になった先生はたくさんいました。でも当時の僕は、「こんな大人が教員なら、自分がなったほうがいい」と思っていたんですよね。
もう一つが、高校野球での経験です。
僕は「自分が甲子園に出て、親戚や友達を喜ばせたい」という目的を持っていました。でも、まわりにとっては甲子園が目的そのものになっていた。
そこでチーム全体で、「なぜ甲子園を目指すのか」を話し合ったんです。すると空気がガラッと変わった。結果として、当時すごく強かった浦和学院に勝ち、関東大会まで進むことができました。公立校だったので、それはかなり大きな出来事でした。
この経験から、当時の僕は「思考が変われば人生は変わる」と本気で思ったんです。
実際、それは間違っていなかったと思います。人は目的や捉え方が変わるだけで、行動も結果も大きく変わる。
だから当時は、「思考力を高めれば人生は良くなる」と信じていました。
でも今振り返ると、それだけでは足りなかった。
人は正しいことを理解していても動けないことがあります。知識が足りないわけでも、能力が足りないわけでもない。
その奥にある恐れや思い込みが、人生を止めていることがある。
それを知ったのは、もっとずっと後のことでした。
ただ当時の僕は、「人生を変える力を伝えたい」と本気で思っていた。その手段として教員を選んだんです。
安定を捨てて飛び込んだ起業——「俺は絶対やれる」という根拠なき確信
異業種交流会で気づいた、「この人たちより、自分はいける」
——教師という安定した仕事を辞めて起業する。相当ハードルが高かったのでは。
岡部さん:それが、不思議とハードルは高くなかったんですよ。
教員になってから年間100冊以上本を読んで、毎日内省を続けていました。学べば学ぶほど、「もっと成長したい」「もっと大きなことをやってみたい」という気持ちが強くなっていったんです。
当時から、いずれは社会で勝負しようと思っていました。
だから異業種交流会や名刺交換会にも積極的に参加していたんです。
そこで経営者の方々と出会って感じたのは、「自分にもできるかもしれない」という感覚でした。もちろん根拠なんてありません。
でも当時の僕は、自分の可能性を試してみたかった。
教師という仕事も好きでした。でも、それ以上に「自分はどこまでできるんだろう」という好奇心が勝ったんですよね。
——まわりの反応はどうでしたか。
岡部さん:心配されましたね。
当時はまだ「コーチング」という言葉自体が今ほど知られていなかったので、「コーチングって何?」「怪しくない?」と言われることも多かったです(笑)。
地元の友達は大手企業で働いている人がほとんどだったので、なおさらでした。
でも僕自身は、反対されたから迷うということはなかったんです。
むしろ、「そういう見方もあるんだな」と受け取っていました。
今思えば、あの頃の僕はかなり自信があったんでしょうね。
「絶対うまくいかせる」
そう本気で思っていました。
そして振り返ると、その自信の奥にもまた、「何者かになりたい」という気持ちがあったんだと思います。
一番きつかったのは、創業1期目の半年間 経営の失敗が、自分自身と向き合うきっかけになった
——会社を経営してきたなかで、一番大変だった時期はいつですか。
岡部さん:間違いなく、1期目の最初の半年間です。
個人として独立してからは、最初の4か月こそ売上ゼロでしたが、その後は一気に加速しました。半年で1000万円、1年で2000万円、1年半で3500万円まで売上を伸ばせたんです。
当時は気合と根性で走り続けていました。それはそれで楽しかったんですよ。
でも、自分が代表として会社を立ち上げ、経営に専念し始めた途端につまずきました。
メンバーに成果が出ない。現場を任せても思うようにいかない。
それまで自分一人ならできていたことが、急にできなくなった感覚でした。
——どこに原因があったのでしょう。
岡部さん:まず経営としては、スケールの順番を完全に間違えていました。
本来は、自分一人で成果が出続ける状態をつくってから仲間を増やすべきだった。でも僕は、集客が安定する前に採用してしまったんです。
しかもコーチング未経験のメンバーに、集客から実務まで一気に任せてしまった。
今振り返れば、美容師経験のない人に「明日からお店を任せる」と言っているようなものですよね。
うまくいくはずがありませんでした。
赤字が続き、メンバーも離れていった。
経営者としては、本当に苦しい時期でした。
ただ、今振り返ると、問題は経営だけではなかったんです。
当時の僕は、「なぜできないんだろう」「もっと頑張れば変わるはずだ」と考えていました。でも本当は、自分自身の在り方を見直すタイミングだった。
メンバーに成果が出ないことに苦しんでいたけれど、その奥には「結果を出さなければ価値がない」という自分自身の思い込みがありました。
会社の問題だと思っていたものが、実は自分自身の問題でもあった。
それに気づくまでには、もう少し時間がかかりました。
一時は家から一歩も出られなくなるくらい、心がガス欠になった時期もありました。
でも今思うと、あの経験がなかったら、その後の人生で本当に大切なことには気づけなかったと思います。
苦しみの底で気づいた、「人生は証明ゲームじゃなかった」 存在を証明するための人生から、本音を創造する人生へ
——その状況を、どうやって乗り越えたんですか。
岡部さん:まず事業としては、一度振り出しに戻すと決めました。
順番を間違えた以上、やり直すしかないと思ったんです。
でも、本当に大きかったのは事業の立て直しではなく、自分自身と向き合ったことでした。
藁にもすがる思いで、ある集団コーチングを受けに行ったんです。
そこで衝撃を受けました。
今まで自分は経営の問題だと思っていた。でも実際は、自分自身の内側にある問題だったんです。
僕はずっと、何かを証明しようとして生きていました。
「個性がない自分には価値がない」
「努力し続けなければ価値がない」
「成果を出さなければ価値がない」
「理解されなければ存在していないのと同じだ」
全部、幼少期につくった思い込みでした。
そして気づいたんです。僕は経営を頑張っていたんじゃない。
起業を頑張っていたんじゃない。本当はずっと、自分の価値を証明しようとしていたんだなって。だから苦しかったんですよ。
結果が出ても安心できない。
評価されても満たされない。
また次の証明が始まる。
終わりがないんです。
——気づいたあとは、どう変わっていったのでしょう。
岡部さん:ジャーナリングや瞑想、僕自身がコーチングを“受けること”をひたすら続けました。1日2時間以上瞑想する日もありました。
そうやって自分の感情や恐れと向き合い続けたんです。
その中で少しずつ分かってきたことがありました。
人は能力不足で止まるわけじゃない。
多くの場合、自分でも気づいていない恐れによって止まっている。
そして僕自身も、ずっとそうだったんです。
失敗するのが怖かった。認められなくなるのが怖かった。価値がないと思われるのが怖かった。だから頑張っていた。でも、その恐れを手放していく中で、大きな変化がありました。
「価値は証明するものではない」
という感覚です。
価値は最初からある。だから人生は、何者かになるための証明ゲームではない。自分の本音から選択し、自分が創りたいものを創っていく創造ゲームなんだと。それが腑に落ちたとき、初めて肩の力が抜けました。今でも課題がなくなったわけではありません。
でも昔のように、「価値を証明するために生きる」という感覚はかなり薄くなったと思います。そして今は、自分自身が体験したこの変化を、一人でも多くの人に届けたいと思っています。
これから届けたいのは、「頑張っているのに成果が出ない人」 本当の原因は、能力不足ではないかもしれない
——いま、一番コーチングを届けたい相手はどんな人ですか。
岡部さん:頑張っているのに、思っているほど成果が出ない人ですね。
営業マンでも経営者でもそうですが、世の中には本当に努力している人がたくさんいます。
勉強もしている。
行動もしている。
自己投資もしている。
でも、「もっとできるはずなのに」と感じている。
売上が頭打ちになったり、同じ課題を何度も繰り返したり、あと一歩のところで前に進めなかったりする。そんな人です。
僕自身がずっとそうだったので、その感覚はよく分かります。
多くの人は、そういう状態になると「能力が足りないんだ」「もっと頑張らなきゃ」と考えます。
でも実際には、能力の問題じゃないことが多いんです。
自分でも気づいていない考え方のクセや思い込みが、成果を止めていることがある。だから僕は、その人に何かを足すというより、本来持っている力を発揮できない原因を一緒に見つけることを大切にしています。
——そういう人には、どんな言葉をかけますか。
岡部さん:まずは、「もっと頑張らなきゃ」と思い続けるのを一度やめてみてもいいんじゃないか、と伝えたいですね。もちろん行動は大事です。
でも、ずっと頑張り続けている人ほど、一度立ち止まってみる価値がある。
なぜなら、本当に見るべきものが見えていないことがあるからです。
例えば、
なぜ売上が伸びないのか。なぜ挑戦できないのか。
なぜ同じパターンを繰り返してしまうのか。
その原因を深く見ていくと、「失敗したくない」「期待を裏切りたくない」「認められたい」といった、自分でも気づいていなかった想いが隠れていることがあります。僕はそれを悪いことだとは思いません。むしろ誰にでもあるものです。
ただ、それに気づかないまま頑張り続けると、どこかで苦しくなる。
だから自己分析も大事ですし、自分を知ることも大事です。
でも最終的には、「本当は自分はどう生きたいのか」という問いに戻ってくる。その答えが見えたとき、人は無理に頑張らなくても自然と前に進み始めるんです。
——岡部さんは、起業して良かったと思いますか。
岡部さん:思います。
理由は、自分の人生のハンドルを自分で握れている感覚があるからです。
教師という仕事も好きでした。でも当時は、どこかで誰かが決めたレールの上を走っている感覚があったんですよね。
今は違います。
うまくいくこともあれば、失敗することもある。
でも、それも含めて自分で選んでいる。
だからこそ面白い。
人生は誰かに正解を与えてもらうものではなく、自分で創っていくものなんだと思います。
0歳の自分へ、そして挑戦するすべての人へ——岡部さんからのメッセージ 人生は証明するものではなく、創るもの
——もし、0歳から7歳の頃の自分に一言かけられるとしたら、何と言いますか。
岡部さん:「ありがとう」ですね。
当時の僕は、「自分は主人公じゃない」という感覚をずっと抱えていました。
だから努力した。
だから頑張った。
だから何者かになろうとした。
本当に苦しかったですよ。
でも今振り返ると、その苦しさがあったからこそ、今の自分がいる。
だから否定したいとは思わないんです。
むしろ感謝しています。
ただ、一つ伝えるとしたら、
「もう証明しなくていいよ」
ですね。
価値があることを証明しなくていい。
誰かに認められることで存在価値を感じなくていい。
そのままで価値があるし、そのままで存在していていい。
それを伝えてあげたいです。
——最後に、この記事を読む方へメッセージをお願いします。
岡部さん:もし今、「もっと頑張らなきゃ」と思い続けているなら、一度立ち止まってみてもいいかもしれません。もちろん努力は大事です。
でも、人生が前に進まない理由は、能力不足ではないことが多い。
本当はできる力があるのに、自分でも気づいていない恐れによって「努力に対しての成果」が小さくなっていることがあります。
失敗したくない。
嫌われたくない。
頑張らないと価値がない。
そうした恐れが、知らないうちに人生の選択を決めている。
僕自身がそうでした。
だからこそ伝えたいんです。
人生は、何者かになるための証明ゲームではありません。
誰かと比べて価値を競うゲームでもない。
自分が本当に望むものを選び、自分の人生を創っていく創造ゲームです。
もしこの記事を読んで少しでも心が動いたなら、一度立ち止まって自分に問いかけてみてください。「本当は、自分はどう生きたいんだろう?」
その問いから、人生は大きく動き始めるかもしれません。
取材・文 河本龍真 株式会社One Rep
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