2026.07.17 / ぶち上げインタビュー
【ぶち上げインタビュー】「死ぬこと以外はかすり傷」——車内生活とアルバイト漬けの少年時代を、自分の力で変えた男。毛利真吏央さん

スマホを開けば、そこに一羽のニワトリがいる。餌をやり、様子を眺め、月に一度、その子が産んだ卵が自宅に届く。そんな「リアルたまごっち」とも呼べる体験型サービス「RICKOCK(リコック)」を岡山から発信しているのが、毛利真吏央株式会社の代表・毛利真吏央(もうり まりお)さんだ。
この記事の要点
- 01プラス、食育の観点でも、自分で育てて卵を産んでもらい、その命をいただくという体験は大事なことだと思っています。
- 02動物も自然も大切にできるように、子どもの段階でその背景やつながりを知ってもらうことが大事だと思っていて、そういう部分をサービスの中で広げていきたいです。
- 03内閣府側からいろいろとサポートをいただけたこともありましたし、身近なところでは「起業してみたい」という相談を受けたり、「すごいね」と賞賛してもらったり、いろいろな反応がありましたね。
※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。
スマホを開けば、そこに一羽のニワトリがいる。餌をやり、様子を眺め、月に一度、その子が産んだ卵が自宅に届く。そんな「リアルたまごっち」とも呼べる体験型サービス「RICKOCK(リコック)」を岡山から発信しているのが、毛利真吏央株式会社の代表・毛利真吏央(もうり まりお)さんだ。
岡山理科大学で動物学を学びながら、大学1年生の冬に自らの名前を冠した会社を立ち上げ、クラウドファンディングを経て鶏舎を建設。「令和の虎」にも2度出演し、審査員や視聴者から支援を集めてきた。以下、毛利さん。
幼少期は決して平坦な道のりではなかった。実家がなくなり車内での生活を経験し、中学時代からアルバイトを掛け持ちしながら学費を稼ぐ日々。それでも「動物が好き」という気持ちだけは、祖父が営んでいたペットショップでの原体験とともに、ずっと胸の中にあり続けたという。
■プロフィール
会社名:毛利真吏央株式会社
役職:代表取締役
氏名:毛利真吏央(もうり まりお)
「たまごっち」のリアル版と、新たに始まる「Honey garden」
──まず、現在展開されている事業について教えてください。
毛利さん:既存でやっているものが一つと、これから始めるものが一つあります。まず既存の方が「RICKOCK(リコック)」というサービスです。スマホでニワトリを飼育できるもので、イメージとしては昔流行った「たまごっち」の、リアル版みたいな感じですね。スマートフォンやタブレット、パソコンを通じて24時間365日、お迎えしたニワトリの様子が見られて、ご飯をあげている様子も見られる。実際にその子が産んだ卵が、月に一回まとめて自宅に届く、というサービスです。
──もう一つ、新しく始める事業もあるそうですね。
毛利さん:はい、「Honey garden」というサービスです。簡単に言うと、リコックのハチバージョンだと思ってもらえれば。スマホでアプリを開くと、養蜂場全体を映しているカメラがあって、自分の巣箱を見ることができます。その巣箱から採れたハチミツが月に一回、梱包されて届く。同じ区画で自分が育てたい野菜、ブルーベリーやイチゴ、トマトなども一緒に育てられて、収穫の様子をカメラで眺めながら、8ヶ月ほど一緒に作物が届くという形です。
車内生活とアルバイト漬けだった少年時代
──幼少期はどんな性格で、どのように過ごされていたんですか。
毛利さん:結構物静かな方だったと思います。もう動物関連の仕事を今しているので、その頃から動物がすごく好きでしたね。ただ、いろいろあって、家がなくなって社員寮生活をしたり、中学時代からアルバイトを5、6個掛け持ちしたり、劇団に入って舞台に立ったりとか、そういうこともありました。動物が好きだけど勉強も好きで、でもあんまり学校に行けない時期もあって、高校は通信制に進みました。それでも動物関係の勉強や仕事はしたいという気持ちはずっとありましたね。
原体験は、祖父が営んでいたペットショップ
──動物を好きになったきっかけは何だったんでしょうか。
毛利さん:もともと、おじいちゃんがペットショップをやっていたんです。それが原体験としてありますね。幼少期、メンタル的にあまりテンションが上がらない時期があったんですが、動物がいることで結構支えられて。それでより動物が好きになったという経緯があります。
「ワールドファーム」構想と、ニワトリを選んだ理由
──大学1年生の冬に起業されたと伺いました。なぜ「ニワトリ」だったのでしょうか。
毛利さん:僕には将来的にやりたい事業構想があって、「ワールドファーム」という一つの大きな構想があるんです。簡単に言うと、リアルどうぶつの森みたいな感じで、スマホの中から自分の農場を持てる。リアルの農場はあるけど、それをバーチャルで管理できる、というものです。そこにつなげる第一歩として、自分が中学・高校時代に飼っていたニワトリがあった。ニワトリは食品を生産してくれる。卵も鶏肉も、という点で食につながりますし、他の家畜に比べてペット要素が強いので、新しいペット市場も開拓できるのではないかと。自分自身、アレルギーで猫や他の動物が飼えなかったこともあって、ペット代替サービス的な意味合いも持たせたかったんです。プラス、食育の観点でも、自分で育てて卵を産んでもらい、その命をいただくという体験は大事なことだと思っています。
「動物と人間が共生できる世界」を目指して
──サービスを通じて実現したい世界観について教えてください。
毛利さん:前から言っているんですが、「動物と人間が共生できる世界」、それに付随して「命あるもの全てが幸せな世界」を作りたいですね。家畜って、その裏側や背景があまり知られていないと思っていて。都市部の子どもたちは、切り身の魚が生きて泳いでいたことすら分かっていなかったりする。動物も自然も大切にできるように、子どもの段階でその背景やつながりを知ってもらうことが大事だと思っていて、そういう部分をサービスの中で広げていきたいです。
クラウドファンディングの壁と、楽しむことで乗り越える力
──ここまでの道のりで、一番大変だった、きつかったと感じた出来事はありますか。
毛利さん:やっぱり自分が思い描いている計画や理想通りに進んでいくのか、という不安は常にありますね。クラウドファンディングで資金を集めようとしたんですが、なかなか集まらなくて。そもそも認知や理解がされる場所がない、ということに気づいたんです。
──そこからどう乗り越えていったのでしょうか。
毛利さん:単純に、楽しむということをメインにやっています。今こうしてお話しできていることも僕はすごく楽しいですし、動物系のことも、元々の夢だったのでできること自体が楽しい。毎日を楽しみながらやることで、不安に負けないぐらいのモチベーションを担保できている感じですね。
大学生起業への周囲の反応と、削られるプライベート
──大学生で起業したことに対して、周りの反応はいかがでしたか。
毛利さん:僕の大学では起業する人自体があまり少なくて、珍しがられました。内閣府側からいろいろとサポートをいただけたこともありましたし、身近なところでは「起業してみたい」という相談を受けたり、「すごいね」と賞賛してもらったり、いろいろな反応がありましたね。学校に行きながら事業をして、筋トレもして、時間の使い方は本当に大変ですが、プライベートの時間を削ってでもやりたいことをやっている、という感覚です。
大学卒業までに年商1億円という目標
──今後の目標について教えてください。
毛利さん:結構危ない目標かもしれないんですが、大学卒業までに年商1億円を目指しています。そのためにも、もっとブランディング力を高めて知名度を上げていきたいですね。この夏からサービスも本格的に始動していく予定なので、そこに向けてユーザーさんの獲得を進めていきたいです。
「死ぬこと以外はかすり傷」——挑戦をためらう同世代へ
──最後に、挑戦したいけれど一歩踏み出せない同世代の方々へ、メッセージをお願いします。
毛利さん:いろんな場面で大事にしているマインドとして、「死ぬこと以外はかすり傷」という言葉があります。結構ポピュラーな言葉かもしれませんが、失敗したり恥ずかしい思いをしても、後から見たらその当時のことを覚えている人なんて絶対いないんです。そう考えると、挑戦して失敗することが怖くなくなる。行動して挑戦するということを、あまり重く捉えすぎずに。「怖いな」「恥ずかしいな」という思いは、そこまで持たなくても大丈夫だと思います。
■会社概要
会社名:毛利真吏央株式会社
設立:2024年12月24日
代表:毛利真吏央
事業内容:体験型サブスクリプションサービス「RICKOCK(リコック)」の企画・運営(ニワトリの遠隔飼育・鶏卵定期配送)、新規事業「Honey garden」(養蜂・農作物の遠隔体験サービス)
所在地:岡山県岡山市中区
取材・文:佐藤大遥(株式会社One Rep)
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