2026.07.12 / ぶち上げインタビュー
【ぶち上げインタビュー】「結果を残せなくなったら、何の価値もない」——イップスを越えた元球児が築く、紹介だけで広がる店舗経営。株式会社Ember・濵﨑兆さん

「オーナー、オーナー」——お客様もスタッフも、彼をそう呼ぶ。 東京・表参道と恵比寿。完全招待制の美容サロン「Ember」を中心に、オーダースーツ、バーと3つの軸で店舗を展開する濵﨑兆さん。以下、濵﨑さん。19歳で福岡・中洲に自分の店を構えて以来、一貫して広告費をかけず、紹介だけで店舗を増やしてきた。現在の従業員数は42名。その多くが、かつての「お客様」だった
この記事の要点
- 01今回のインタビューでは、完全紹介制ビジネスの裏側から、経営者として最もきつかった瞬間、そしてこれからの展望まで、余すことなく語ってもらった。
- 02今まで確立していた地位は、僕が結果を残すことで存在していたんですけど、いざ使い物にならなくなった時に、「結果を残せなくなったら何の存在価値もないんだ、周りに助けてくれる人もいないんだ」というのを感じたんです。
- 03でも、これが変わるチャンスだと思って、誰よりもお客様に真剣に向き合う接客を始めました。
※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。
「オーナー、オーナー」——お客様もスタッフも、彼をそう呼ぶ。
東京・表参道と恵比寿。完全招待制の美容サロン「Ember」を中心に、オーダースーツ、バーと3つの軸で店舗を展開する濵﨑兆さん。以下、濵﨑さん。19歳で福岡・中洲に自分の店を構えて以来、一貫して広告費をかけず、紹介だけで店舗を増やしてきた。現在の従業員数は42名。その多くが、かつての「お客様」だったという。
高校時代は野球一筋、最速150キロを投げる本格派ピッチャーだった濵﨑さんだが、故障による挫折を経験。その後、就職せずに夜の世界へ飛び込み、接客という新たな武器を手にする。今回のインタビューでは、完全紹介制ビジネスの裏側から、経営者として最もきつかった瞬間、そしてこれからの展望まで、余すことなく語ってもらった。
会社名 株式会社Ember
役職 代表取締役
氏名 濵﨑 兆さん(はまさき きざし)
事業内容——広告費ゼロ、紹介だけで広がる「Ember」
美容サロン・オーダースーツ・バー、3つの軸
——まずは事業内容について教えてください。
濵﨑さん:美容サロンの名前は「Ember」っていう名前でやらせていただいてます。完全招待制の美容サロンになってて、招待制と言っても、ご紹介が生まれて、そこからお客さんになっていくっていう流れなんで、本当にどこよりも接客だったりとか、施術だったりとかは、お客様がファーストで考えられている店舗かなと思っています。
——現在の店舗規模やスタッフ数について教えてください。
濵﨑さん:スタッフは合計42名ですね。お客さんからスタッフになる方がほとんどなんですよ。もう本当に一番嬉しいというか。施術を受けて、「ここで働いている人たち、オーナー、こんな毎日いいの?」みたいな話をしてくれて、そういう流れが一番多いですね。
経歴・きっかけ——野球少年から、19歳での起業へ
福岡・中洲で始まった「夜の仕事」
——起業に至るまでの経歴を教えてください。
濵﨑さん:高校3年間はずっと野球をしていました。ドラフトにもお声がけいただいたんですが、結局その道は選ばず、就職もできずに、18歳から夜のお仕事に就かせていただいて。19歳で自分のお店をオープンして、福岡の中洲というところですね。そこから22歳ぐらいまで、僕自身もお店に立ちながら店舗を回して、スタッフが集まったタイミングで店舗から抜けて、店舗展開という形で今に至っています。
独自の手法——「一人ひとりに会いまくる」採用と接客
広告費をかけない、かたくなな経営スタイル
——採用や集客において、大切にしていることはありますか。
濵﨑さん:もう一斉広告とか使わないと、かたくなに決めているんで。ブランディングはそのままに、一人ひとりに会いまくるというのをしています。将来店舗を出したい方、ダブルワークしたい方、営業力をつけたい方——そういう方にお会いしたいですし、実際にお店に来てくださった方が、そのままスタッフになってくれることが多いですね。
信念——「誰よりも真剣に、お客様と向き合う」
18歳で身につけた接客の原点
——お客様やスタッフへの向き合い方で、意識していることはありますか。
濵﨑さん:誰に対しても丁寧な接客って言うと簡単に聞こえるんですけど、誰よりもお客様に真剣に向き合うような接客をして、その人を知ろうということを、18歳で初めてやり始めました。それが今のすべての土台になっています。
一番きつかった経験——高校野球でのイップス
「結果を残せなくなったら、何の価値もない」
——これまでで一番苦しかった経験を教えてください。
濵﨑さん:高校野球でイップスを経験した時かもしれないですね。僕、高校生で最速150キロを投げたんですよ。「僕がいるから、このチームは勝てるんだ」って、ずっとみんなで言ってる中で、僕がイップスになって、ストライクが入らなくなって。今まで確立していた地位は、僕が結果を残すことで存在していたんですけど、いざ使い物にならなくなった時に、「結果を残せなくなったら何の存在価値もないんだ、周りに助けてくれる人もいないんだ」というのを感じたんです。その挫折が、人生の中で最大のものだったかもしれません。
乗り越え方——挫折が接客の原点になった
「劣等感」から始まった、人と向き合う覚悟
——その挫折を、どう乗り越えたのでしょうか。
濵﨑さん:自分の人間性を変えるしかないと思って。就職もできず、こんな使い物にならない自分に、劣等感をめちゃくちゃ感じていたんですよ。でも、これが変わるチャンスだと思って、誰よりもお客様に真剣に向き合う接客を始めました。今、店舗をやっている中で、僕以外にもスタッフさんたちがいるんですけど、その方々が一番大事なんだなと思っていて。自分の思いや理念を実際にお客様に伝えてくれるのはスタッフさんたちなので、その接し方や自分の見せ方は、めちゃくちゃ気をつけています。
経営者としての修羅場——過労で救急搬送も
「僕が休んでいるわけにはいかない」
——経営者として、一番辛かったエピソードはありますか。
濵﨑さん:美容サロンとオーダースーツを東京で両軸でやっていて、店舗を増やしている時期は、いろいろ重なって並行してやらないといけないので。倒れるんじゃないかというぐらい寝ずに働いていて、実際に血尿が出るのが当たり前みたいな状態でした。僕がいない間にも店舗で働いてくれているスタッフがいると思うと、休んでいるわけにはいかなくて。40度の熱でもお店に行ったり、めまいや頭痛がひどかったり。帰り道に寝ずに倒れて、救急車で運ばれたこともありました。
原動力——「必要とされること」が支えになる
スタッフとお客様、それだけが理由
——それでも経営を続けてこられた原動力は何ですか。
濵﨑さん:やっぱりスタッフさんとお客さん以外にないですね。本当にめちゃくちゃ大変ですし、逃げ出したい、死ぬほど寝たいと思う時ばかりなんですよ。実は弱い人間なんですけど、みんなが「オーナー、オーナー」って声をかけてくれたり、お客様から「今日は美容サロンにいるの?」「今日はバーにいるの?」って連絡が来て。全員には会えないですけど、会った時に「今日も会えた」って思えることが、何にも変えられない支えです。
価値観・熱狂——「衣食住」で大切な人を支えたい
会社の理念は「感動を届ける」
——今後、会社としてどんな姿を目指していますか。
濵﨑さん:会社の理念が「感動を届ける」なんです。僕たちのお店は広告を一切使っていなくて、今の業界でいうと本当に珍しい店舗なんですね。ご紹介やお店のあり方、スタッフの生きざまでお客さんがついてくる店舗なので、人間力が高まっていかないと人の心は動かないし、それが高まって人の心が動いた時に初めてご紹介が生まれる。将来的には、僕だけじゃなくて、うちのスタッフがどんどん独立して店舗を出していって、僕の大切な人たちの衣食住が完結するようなお店を展開できたらと思っています。
今後の展望とメッセージ——「優先順位を決めて、一歩踏み出す」
目標は全国展開100店舗
——最後に、視聴者へメッセージをお願いします。
濵﨑さん:僕が大事にしているのは、ものごとの優先順位を決めることです。優先順位さえ決まれば、意外とそれに伴った行動ができると思っていて。僕は家族、友人、恋人、スタッフが一番大事な人たちなので、その人たちを第一優先として行動しています。何かやりたいことがあるのにお金の面で不安だと感じるなら、それは自分自身が第一優先になっているからだと思うんです。自分の中の優先順位をしっかり決めれば、それに伴った行動が見えてくる。あとは勇気を持って、一歩踏み出すだけだと思います。数字としては、全国展開100店舗を目指しています。
会社名 株式会社Ember
設立 2024年1月
代表 濵﨑兆
事業内容 完全招待制美容サロンの運営(脱毛・ホワイトニング・アートメイク等)、オーダースーツ、バー運営
店舗所在地 東京都港区(表参道)、東京都渋谷区(恵比寿)
HP https://ember-official.com/
取材:河本龍真 文:佐藤大遥(株式会社One Rep)
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