2026.07.07 / ぶち上げインタビュー
【ぶち上げインタビュー】「倒れるわけにはいかない」──保護犬猫×福祉で業界革命を起こす元テラハメンバーの挑戦。株式会社ANELLA Group・伊東大輝さん

東京・尾山台に本社を構える伊東大輝さんは、保護犬猫ふれあいカフェ「ANELLA CAFE」を全国展開する経営者だ。殺処分ゼロを本気で目指すその事業モデルは、保護動物のシェルターと就労継続支援B型という障がい者支援事業を掛け合わせた画期的なものだ(以下、伊東さん)。
この記事の要点
- 01東京・尾山台に本社を構える伊東大輝さんは、保護犬猫ふれあいカフェ「ANELLA CAFE」を全国展開する経営者だ。
- 02その付加価値のおかげでスポンサー収入も得て、プロとしての生活は普通にできていました。
- 03それから湘南でシェアハウス事業を展開して、150室くらい作って、そこをきっかけに法人化しました。
※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。
「お金がなくても、動物の命を託されている以上、止まれない」
東京・尾山台に本社を構える伊東大輝さんは、保護犬猫ふれあいカフェ「ANELLA CAFE」を全国展開する経営者だ。殺処分ゼロを本気で目指すその事業モデルは、保護動物のシェルターと就労継続支援B型という障がい者支援事業を掛け合わせた画期的なものだ(以下、伊東さん)。
ウィンドサーフィンのプロとして全日本チャンピオンに輝き、リオオリンピック強化指定選手も経験。20歳でテラスハウスシーズン1に出演し、アメブロランキング1位、Instagramフォロワー約30万人を記録。その後、洋服ブランド、湘南シェアハウス事業、飲食店プロデュースなど10以上の事業を立ち上げたシリアルアントレプレナーだ。
2019年、妻の保護活動をきっかけに「寄付募金に頼らない」保護団体を設立。現在はANELLA CAFEをフランチャイズ展開し、準備中店舗含め130店舗を突破。約3,500頭以上の犬猫を里親のもとに送り出してきた。その挑戦の原点と覚悟を聞いた。
会社名:株式会社ANELLA Group(ANELLA CAFEフランチャイズ本部)
代表:伊東 大輝(いとう だいき)
事業内容:保護犬猫ふれあいカフェ運営、就労継続支援B型事業、トリミング、ペット関連商品製造・販売、飲食事業、宿泊施設運営
経歴──プロアスリートからテラハ、そしてシリアルアントレプレナーへ
ウィンドサーフィン全日本チャンピオンから「テラスハウス」出演、そして起業へ
──まずは、伊東さんのこれまでのご経歴をお聞かせください。
伊東さん:もともとウィンドサーフィンというマイナースポーツのプロとして活動していて、全日本チャンピオンだったり、リオオリンピックの強化指定選手もやっていたんです。その前はずっとテニスをやっていて、小さい頃からスポーツをやり続けてきた人生でした。ただ、マイナースポーツにおけるオリンピックは4年に一度で、金メダルを取らない限り何も報われない。4位以下だったら4年分の人生がパーになってしまうかもしれない。そんな世界にいたんです。
そんな中、20歳の時にテラスハウスシーズン1に出演しました。当時の影響はすごくて、アメブロランキングも1位、Instagramのフォロワーも約30万人になりました。その付加価値のおかげでスポンサー収入も得て、プロとしての生活は普通にできていました。でも、収入も知名度も得て俯瞰してみた時に、なんて小さい世界なんだろう、というふうにも思ったんです。
そこから、選手としてではなく違う形でスポーツに貢献できないかと考えて、洋服ブランドを立ち上げたり、横浜ビブレでセレクトショップをやったり。それから湘南でシェアハウス事業を展開して、150室くらい作って、そこをきっかけに法人化しました。その後もキッチンカー、飲食店プロデュース、動画メディア、インフルエンサー海外派遣事業…10〜15くらいの事業はやりましたね。
保護活動への転機──寄付募金なしで、誰もやったことのない挑戦
妻の15年間の活動から生まれた、新しい保護団体の形
──そんな多彩な経歴から、なぜ保護犬猫の世界に?
伊東さん:妻がもともと15年くらい保護活動を続けていたんです。交通事故に遭ったり、親族を亡くしたりというつらい時期に、保健所のワンちゃんのお世話をして救われたという経験があって、そこからずっと続けていたんです。
その妻から話を聞いている中で、保護活動の世界が寄付や募金、ボランティアのみに依存している構造的な問題に気づいた。お金が足りないから病院に行けないとか、そもそも資金の部分を寄付やボランティアに頼っていること自体が不健全じゃないかと。それで2019年、千葉県一宮町に最初のお店を作り、寄付募金は受け取らない保護団体としてスタートしました。99%の団体が寄付募金ありきの中、かなり珍しい部類だと思います。
ANELLA CAFEの誕生──保護犬猫×福祉という発明
「三方よし」を意図的に設計したビジネスモデル
──現在のANELLA CAFEの事業モデルを教えてください。
伊東さん:ANELLA CAFEは、保護犬猫のふれあいカフェであり、トリミングサロンであり、シェルターであり、そして就労継続支援B型という福祉事業所でもある。一般のお客さんが保護犬猫と触れ合って、里親さんを見つける場所でもあります。
障がい者の方々には、犬猫のお世話にまつわる仕事をしてもらっています。ご飯をあげたり、ブラッシングしたり、肉球ケアしたり、お散歩に行ったり、リードを作ったり。通常の就労支援だと段ボールを組み立てたり、データ入力したりなどという軽作業と呼ばれるものが多いですが、精神疾患の方が多い中で、つまらない作業をしていても楽しくないですよね。犬猫との触れ合いは、アニマルセラピーにもなるし、利用者様にとってとてもいい支援になっていると思っています。
国からの給付費で各事業所ごとにしっかり収益が入る仕組みなので、寄付募金がなくても各シェルターごとに黒字化できて継続運営が可能になる。三方よし、四方よしを意図的に作れているという感じですね。
店舗数こそが最大のインフラ──フランチャイズシステムで700~1,000店舗で殺処分ゼロのその先へ
「物理的にゼロにする」というシンプルな戦略
──フランチャイズ展開を選んだ理由を教えてください。
伊東さん:直営で1,000店舗を作るには何十年もかかる。何年やってもきっと作れて20〜100店舗がいいところだろう。その間にも行き場を失ってしまう犬猫は沢山いるし、支援できる障がい者の数も限られてきてしまう。良い事業だからこそスピード感を持って店舗展開するために、フランチャイズを選びました。
例えば一般家庭からの飼育放棄なども含め、行き場を失う犬猫の数が年間約1万頭だとしたら、僕らが同時に1万頭保護できる体制を作れば、物理的にそれはゼロになる。そのために必要な店舗数が700から1,000店舗。今、準備中含めて130店舗を超えたところです。
通常の就労支援だと段ボールを組み立てたり、データ入力したりなどという軽作業と呼ばれるものが多いですが、精神疾患の方が多い中で、つまらない作業をしていても楽しくないですよね。犬猫との触れ合いは、アニマルセラピーにもなるし、利用者様にとってとてもいい支援になっていると思っています。
だからスピード感を持って店舗展開するために、フランチャイズを選びました。
産業や日常の当たり前にどでかいインパクトを与えるのは、きっと店舗数なんです。
僕が考えたKPIは店舗数です。牛角ができたからファミリーで焼肉という当たり前があり、ドトールやスターバックスがこんなに沢山なかったら、気軽にコーヒーを飲んでなかったかもしれない。産業にインパクトを与えるのは、結局店舗数なんです。
一番きつかったこと──残金30万円、SNS炎上、数万人から誹謗中傷。
何度も迫った倒産の危機と、それでも止まれなかった理由
──これまでで一番きつかった経験は?
伊東さん:すでに年間で数億円という会社規模になっていた頃でも、10ヶ月くらい連続で毎月の残金が30万円、50万円しかないという状態が続いていました。一日で倒産してもおかしくないレベルのギリギリが3回くらいはあります。
それから、22、23歳の時にSNSで炎上したこともあります。数万人の方から心無いコメントが来て、仕事は全部なくなりました。映画館で流れていたCMも翌日に差し替え。一文無しになりました。
乗り越えた方法──「気合いです。シンプルに気合い」
倒産しない能力だけは異常に高い、と株主から公認
──そこからどうやって乗り越えてきたんですか?
伊東さん:気合いです。シンプルに気合い。考えてどうしようとやっても、今日中になんとかお金を作るんだとか、家主さんに待ってもらうとか、あらゆる手段を考えてやるしかない。倒産しない能力だけは異常に高い、と株主からも公認されています(笑)
原動力──命を預かっている事業だから、やめられない
動物達も障がい者の方々も、俺が倒れたら居場所を失う
──そこまで戦える原動力は何ですか?
伊東さん:この事業は辞めるか辞めないかという世界じゃないんです。家賃が払えなくなった瞬間に、その子たちの居場所がなくなる。給料が払えなくなった瞬間に、ご飯をあげるスタッフがいなくなる。命を扱っている以上、止めてはいけないんですよね。
それに、このペット産業のあり方を根本から変えられる仕組みを僕らが作ったと思っているので、ここで倒れたら業界ごと永遠にこのままになってしまう可能性が高い。何億円もの資金を投下し、溶かし、やっとの思いで今の形を作ってきたが、僕がここで倒れると、もうやれる人がいなくなってしまうという使命感があります。
犬猫だけじゃなく、各店舗で30人から50人の障がい者の方を支援しているので、その人たちの居場所も奪うわけにはいかない。5年間引きこもっていて、やっとうちに来れるようになったという方もいる。それは多分、犬猫の力だと思うんです。アネラとはハワイ語で天使。犬猫が天使のように幸せを運んでくれるという意味でつけました。保護して助けているようでまさに僕たち人間側が助けられている瞬間が多々あります。
価値観の変化──「譲渡数」ではなく「同時保護数」を追う
「どうやったら売れるか」ではなく、「どれだけ守れるか」
──事業をやる中で、大切にしている考え方は?
伊東さん:僕らは譲渡数をKPIにしていないんです。もちろん里親さんのもとに送り出すのは重要なんですが、そこを追いすぎると「どうやったら売れるか」というようなペットショップのマーケ的発想になってしまう。割引すればいいとか、インセンティブをつけるとか、ローンが組めますとか、ペットショップの思想と近くなってしまう。
僕らが追っている指標は「同時に何頭保護できるか」。今は同時に約500頭ですが、700店舗、1,000店舗になれば1万頭くらい保護できるようになる。物理的に、その子たちが入れる安心して過ごせる空間と場所をどんどん作っていくという、シンプルな戦い方です。
今後の展望──「知らない人をゼロにしたい」
採用、障がい者支援、保護動物──知られることで救える命がある
──これから、どういう展開を考えていますか?
伊東さん:まずは1,000店舗を目指して、物理的に殺処分ゼロを実現したい。それと、保護犬猫のことや福祉事業のこともっと知ってもらいたい。障がい福祉サービスの存在を知らず、せっかく受けることができるのに受けていない、受けられていない方が沢山いるという現実もある。
それから、すでに店舗数もかなり多いので、僕が会ったことのないスタッフも多いんです。こういうメディアを通じて、アネラができた経緯やANELLA CAFEの考え方というのを見てもらえれば、お店や各スタッフ達のレベルも上がると思っています。それが結果として犬猫のお世話やクオリティ、利用者様への支援の質にも直結すると思っています。
最後に(筆者の感想)
伊東さんの話を聞いていて、一番心に残ったのは「倒れるわけにはいかない」という言葉の重みだった。それは単なる根性論ではなく、動物の命と障がい者の方々の居場所を背負っている人間の、絶対に引くことのできない覚悟から来ている。
テラスハウス出演、10以上の事業立ち上げ、SNS炎上、何度もの資金難──濃密な人生を歩んできた伊東さんがたどり着いたのは、「自分しかできないことを、やり切る」という覚悟だった。その言葉には、規模や売上では測れない、経営者としての真の覚悟が刻まれていた。
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会社名:株式会社ANELLA Group(ANELLA CAFEフランチャイズ本部)
代表:伊東 大輝
事業内容:保護犬猫ふれあいカフェ運営、就労継続支援B型事業、トリミング、ペット関連商品製造・販売、飲食事業、宿泊施設運営、ペット保険代理店業
店舗数:準備中含め130店舗超
設立:2017年11月
資本金:2億633万円(資本準備金含む)
所在地:東京都(尾山台)
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