2026.05.01 / ぶち上げインタビュー
【ぶち上げインタビュー】「なせばなる」——元局アナが徳島で描く、四国のタレント事務所という挑戦 株式会社office SERENO 代表取締役 森本 晴香【人生ぶち上げch】

「私の人生は、人との縁でできている」 新潟放送、広島ホームテレビ、四国放送、南海放送——。TBS系、テレ朝系、日テレ系と、3系列・4局を渡り歩いたアナウンサー経験を積み、2019年、結婚を機に徳島で独立。株式会社office SERENO(オフィスセレーノ)を立ち上げ、「四国4県を網羅するタレント事務所」という、東京にいては描きにくい地図を走らせる人物がいる
この記事の要点
- 01現役アナウンサーとして四国放送やFM徳島に出演を続けながら、タレントマネジメント事業と映像制作事業を経営している。
- 02そして、「四国4県の代名詞になる」と語る未来図を、等身大の言葉で語っていただいた。
- 03目標もそんなに高くはないのかもしれませんが、「やりたい」と思ったことは、ある程度実現させてこられたかなと感じています。
※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。
「私の人生は、人との縁でできている」
新潟放送、広島ホームテレビ、四国放送、南海放送——。TBS系、テレ朝系、日テレ系と、3系列・4局を渡り歩いたアナウンサー経験を積み、2019年、結婚を機に徳島で独立。株式会社office SERENO(オフィスセレーノ)を立ち上げ、「四国4県を網羅するタレント事務所」という、東京にいては描きにくい地図を走らせる人物がいる。代表取締役の森本 晴香さんだ(以下、森本さん)。
徳島に生まれ、広島で育ち、大学在学中に地元局でスカウトされ、学生キャスターとしてキャリアをスタート。大学卒業後は新潟放送に入社し、以降、局を移りながらニュース・情報番組・スポーツ中継・ラジオ・イベント司会まで幅広く担当。自ら出演する番組の企画・撮影・編集にも関わってきた。
2019年、徳島移住と同時にフリーランスとして活動を開始。2022年にoffice SERENOを設立。現役アナウンサーとして四国放送やFM徳島に出演を続けながら、タレントマネジメント事業と映像制作事業を経営している。
今回、人生バリキャリチャンネルの取材として、森本さんご自身のキャリアとこれからの展望を伺った。なぜ、地方×タレント事務所という道を選んだのか。局アナから経営者へと軸を移すなかで、何を大切にしてきたのか。そして、「四国4県の代名詞になる」と語る未来図を、等身大の言葉で語っていただいた。
会社名:株式会社office SERENO(オフィスセレーノ) 役職:代表取締役 氏名:森本 晴香(もりもと はるか)
タレント事務所と映像制作、アナウンサー。3本柱で四国の伝える仕事を担う
徳島と愛媛を拠点に、現場の人を輝かせる仕事を経営する
——まず、いまのお仕事について教えてください。
森本さん:私は徳島を拠点に、ふたつの事業を経営しています。ひとつは所属タレントを抱えてマネジメントするタレント事務所。もうひとつは、放送局から依頼を受けて番組やCM、広告映像をつくる映像制作です。それに加えて、私自身も現役のアナウンサーとして、レギュラーの番組に出させていただいています。
テレビとラジオが中心で、週に2〜3本レギュラーがあって、そのほかはご依頼ベースでいろいろなお仕事をいただく、という感じです。所属タレントは、いま徳島と愛媛にそれぞれいて、彼女たちが番組や司会、CMの現場で活躍してくれています。
「徳島には民放が1局しかない」——ないなら、自分で育てる
メディア経験者を再び表舞台に。地方ならではのスカウト戦略
——所属タレントさんとの出会いはどのような形だったんですか?
森本さん:ほとんどが私からのスカウトです。徳島と愛媛で番組を展開しているので、そもそも現地に住んでくださっていないと、レギュラーには出られないんですよね。
声をかけるのは、メディア経験者が多いです。昔はそういうお仕事をしていたけれど、就職を機に諦めてしまった方。今は別のお仕事をしながら、趣味で続けている方。そういう方々の中に「いいな」と感じる子がいたら、私から声をかけて、リポートの基礎から一緒にやり直していく。そうやって、もう一度メディアの現場に押し出していくんです。
徳島って、実は民放が1局しかない地域なんです。そうすると、タレントがすごく育ちにくい環境で。だったら、私がやればいいか——そういう気持ちで始めました。
「生放送のあとのビールが、美味しすぎた」——アナウンサーを選んだ理由
大学生でいきなり帯番組。学生キャスター時代が、すべての原点
——そもそもアナウンサーを目指されたきっかけは?
森本さん:もともと広島の大学に通っていたときに、「君、ちょっとテレビで喋ってみない?」とスカウトしていただいて、学生キャスターとして番組に入るようになったんです。カープ、サンフレッチェ広島——広島なので、スポーツキャスターもやらせてもらって。
大学3年生になる前くらいから1〜2年、月曜から金曜までの帯番組にずっと出ていたので、その期間は本当に毎日ほぼそれに費やしていました。
そこで先輩のアナウンサーさんたちが、学生だった私にすごく優しく、いろんなことを教えてくださって。「アナウンサーって、楽しそうな仕事だな」と素直に思ったんです。
それと、生放送を事故もなく、噛まずに終えたあとに飲むビールが、とにかく美味しくて(笑)。「この仕事、やりたいな」と思ったのが、アナウンサーを志望したきっかけでした。
「挫折しそうなとき、必ずキーマンがいた」——人との縁が、私をここまで連れてきた
自分の力というより、周りに助けられてできた人生
——これまでの人生で、一番辛かったことを教えてください。
森本さん:ありがたいことに、実は「挫折らしい挫折」をほとんどしていなくて。目標もそんなに高くはないのかもしれませんが、「やりたい」と思ったことは、ある程度実現させてこられたかなと感じています。
ただ、「挫折しそうだな」「あぶないな」と思うタイミングは何度もあって。そういうときには、必ず誰かキーマンみたいな人が現れて、私を助けてくれたんです。
たとえば、私はもともと勉強がすごく苦手だったんですが、中学時代に憧れの先輩ができて、「あの先輩と同じ制服が着たい」と思った瞬間に、スイッチが入ったんです。そこそこレベルの高い高校だったんですけれど、「よし、勉強しよう」と気持ちが切り替わって、なんとか進学できた。
自分で何かをやり遂げたというより、本当に、周りに助けられて今の自分がある。だからこそ、いま繋がってくださっている方々との縁は、これからもずっと大切にしていきたいと思っています。
「ニュースで"稚魚"を"痴女"と読みました」——失敗しかない、アナウンサー人生
新人の頃も、ベテランになってからも、ずっとやらかしている
——アナウンサーとしての失敗談、聞かせてください。
森本さん:いっぱいありますよ(笑)。
新卒の頃は、文章を覚えるのがとにかく苦手で。アナウンサーって、天気予報の前に1分間の小話を覚えて喋る、みたいな場面があるんですね。それがどうしてもダメで、生放送が始まった瞬間に頭が真っ白になって、ずっと黙り込んでしまった——なんてこともありました。
ベテランになってからもやらかしていて。ニュースで「子どもたちが稚魚を川に放流しました」というはずが、「稚魚」を「痴女」と読んでしまって、「痴女を川に放流しました」という、意味のわからない原稿にしてしまったことも(笑)。
いい絵面だけが切り取られてオンエアされるので、皆さんが見てくださっているのは、一番きれいなところかもしれません。でも、その裏にはトライアンドエラーの積み重ねがあって、今の自分があるんです。
「22歳でも、大臣にインタビューできる」——アナウンサーという仕事の魅力
自分が輝くのではなく、輝いている人を紹介する仕事
——アナウンサーという仕事の、一番の面白さはどこにありますか?
森本さん:自分の知らないこと、知らない思いに出会えるのは、本当にこの仕事だからこそ、と感じます。
22〜23歳くらいのペーペーの子が、いきなり大臣クラスの政治家の方にインタビューする。普通だったら、なかなかできないことじゃないですか。でも、「お仕事だから」と、たくさん準備をして、きちんとお話を伺うことができる。芸能人として活躍されているタレントさんに、1対1で向き合える。
新人の頃、先輩から「インタビューの極意は、どれだけその人を調べるか」と教わって、ずっと大事にしているんです。「あなたのことを知っています。でも、もっと知りたいんです」という姿勢で臨む——そうやって、普通なら会えない方と真正面から向き合える。これは正直、アナウンサーだからこそ、の魅力だと思います。
アナウンサーって、結局、輝いているのは相手の方なんですよね。私たちはその輝きを、紹介する役目。自分以外の人や物を、いかに魅力的に伝えるか。そこに面白さがあります。
「職業選択肢にアナウンサーが入ってこない地方を、変えたい」——志望者へのメッセージ
好奇心旺盛。それだけで、もう適性は十分
——アナウンサーを志望されている方に、メッセージをお願いします。
森本さん:いろいろなことに興味を持って、その興味に突き進んでいける人って、すごいなぁと思うんです。
アナウンサーは、輝いている人や物を紹介する仕事なので、いろんなものに興味を持てるということ自体が、仕事を楽しめる条件のひとつ。だから、「自分は好奇心が旺盛だ」と思えるなら、それだけでもう適性はあると思っています。
地方の大学で講演させていただく機会があるのですが、やっぱり職業選択肢にアナウンサーが入ってこないんですよね。「興味はあるけど、自分たちにはちょっと違う次元の世界」と思われていて。
そんなことないんだよ——ということは、これからもちゃんと伝えていきたい。SNSの台頭もあって、なりたい人は少しずつ減っているかもしれないけれど、なってみたら本当に楽しくて、やりがいのある仕事です。ぜひ、それを知ってほしいなと思います。
「セレーノがあるなと、まず思い出してもらえる存在に」——これからの展望
四国4県を網羅する、タレント事務所のデファクトスタンダードへ
——会社として、これから描いている未来図は?
森本さん:いまは徳島と愛媛の2県なので、まずは四国4県を網羅したいですね。
東京のテレビ番組が「徳島でロケをします」「愛媛でイベントをやります」となったとき、司会者やリポーターを手配したい——そう思った瞬間に、「あっ、セレーノがあるな」とパッと思い出してもらえる。そんな存在になりたいと思っています。
そして、セレーノのタレントたちが現場で活躍してくれて、「四国のタレント事務所といえば、セレーノ」と言ってもらえるようになること。これが、いま一番目指している景色です。
私自身は、タレントたちが輝ける場所を、これからもひとつずつ、丁寧に増やしていきたいと思っています。
「なせばなる。迷う前に、まず体を動かす」——読者へのメッセージ
小さなスモールステップでも、毎日"ひとつ"を決めて動く
——最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
森本さん:私、「なせばなる」ってずっと思っていて。とりあえずやってみる、ということを大事にしています。経営者の方って、「まずやってみないと」というマインドの方が多いと思うんですけど、本当にその通りだなと。
今日一日、「これをやるか、やらないか」で迷う前に、体が動く。この癖がついていないと、たぶん結局できないんですよね。だから小さなことでもいい、スモールステップでもいい。「今日は必ずこれをやる」「今日は、こういう世界にひとつ踏み込んでみる」。それを決めて、動いていく。
その積み重ねが、気づいたときには、遠くまで連れて行ってくれると思っています。
そしてここまでつながってくださったみなさんへ。私の人生は、本当に人との出会いでできていて、自分で何かを成し遂げたというより、周りに助けられて今の自分がある。だからこそ、ここまでの縁も、これから出会う縁も、ずっと大切にしていきたいです。
会社概要
会社名:株式会社office SERENO(オフィスセレーノ) 設立:2022年 代表:森本 晴香 事業内容:タレントマネジメント事業(番組出演・CMモデル・司会・講座など)、映像制作事業(企業広報動画・CM・SNS動画など) 所在地:徳島県
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取材・文:河本 龍真(株式会社One Rep)
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