2026.08.09 / ぶち上げインタビュー
【ぶち上げインタビュー】「燃焼できる時間」に価値を置く——会計士、Googleを経て中小企業の力を解放する男。スケール株式会社・山田皓祐さん

「独立するのめちゃくちゃお金かかるんだなと思いましたし、シンプルに絶望した」。 新卒でPwCアドバイザリー合同会社(以下PwC)、その後Google合同会社(以下Google)の中小企業向け広告営業を経験し、独立初日には売上ゼロのまま20万円の経費だけが飛んでいった——そんな出発点から歩みを進める経営者がいる。
この記事の要点
- 01新卒でPwCアドバイザリー合同会社(以下PwC)、その後Google合同会社(以下Google)の中小企業向け広告営業を経験し、独立初日には売上ゼロのまま20万円の経費だけが飛んでいった——そんな出発点から歩みを進める経営者がいる。
- 02社名には「日本の素晴らしい価値を、AIの力で”Scale”させる」というビジョンを込めているんです。
- 03この違いに気づいたことが、今の経営でも大事にしている価値観につながっています。
※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。
「独立するのめちゃくちゃお金かかるんだなと思いましたし、シンプルに絶望した」。
新卒でPwCアドバイザリー合同会社(以下PwC)、その後Google合同会社(以下Google)の中小企業向け広告営業を経験し、独立初日には売上ゼロのまま20万円の経費だけが飛んでいった——そんな出発点から歩みを進める経営者がいる。
山田皓祐さんは、早稲田大学在学中に公認会計士試験に合格し、大学卒業後はPwC、Googleを経て、スケール株式会社を設立した。マーケティング・人材事業を皮切りに中小企業支援を手がける傍ら、「二十代キャリアの正解は一つじゃない」「会社員を資産にする」という発信を続けている。
中学受験の挫折から始まったキャリア観、Googleで直面した自分の弱さ、そして独立後に大切にしている価値観。今回は、その原点と現在地をじっくり伺った。以下、山田さん。
【プロフィール】
会社名:スケール株式会社
役職:代表
氏名:山田皓祐(やまだ こうすけ)
中小企業の力を解放する——広告事業から始まった挑戦
個人にも、法人と同じように力になりたい
——現在、どんな事業をされているんですか。
山田さん:今はスケール株式会社という社名で、マーケティングと人材紹介を軸に中小企業支援をしています。社名には「日本の素晴らしい価値を、AIの力で”Scale”させる」というビジョンを込めているんです。広告事業を軸にスタートしていますが、対象は法人だけじゃなくて。大きな未来を描ける人が、現実の狭間の中でまだ飛躍できていない、という個人に対しても、同じように力になりたいという思いがあって、人材紹介事業も始めました。
——独立初日から、いきなり波乱だったとか。
山田さん:独立初日は当然ながら売上ゼロで。それどころか、もともと予定していなかった人材事業を始めるための定款変更に6万5000円、労務局への申請に13万円と、合わせて約20万円の出費だけが発生したんです。独立するのめちゃくちゃお金かかるんだなと思いましたし、シンプルに絶望しましたね。
中学受験の恥ずかしさが原体験に
「自分だけ受かってない」という強烈な記憶
——山田さんの原体験は、どこにあるんですか。
山田さん:中学受験の失敗にありますね。「中学受験組」が休み明けに合格先を報告し合う中、自分だけどこも受かってない状況が、強烈に恥ずかしかったんです。今振り返れば、当時は受験に対して不誠実に取り組んでいたという自覚もあります。
——そこからどう変わったんですか。
山田さん:この経験をバネに臨んだ高校受験では、志望校に合格できました。ベストを尽くせなかった中学受験と、しっかりやるべきことをやって受かった高校受験という対比が、自分にとってめちゃくちゃ大きい成功体験になったんです。今でも、なんとかなるよねと日々思えている原体験になっています。
サッカーで培った「燃焼できる時間」という価値観
解像度の低い時間と、具体的に語れる時間
——今も大事にされている「燃焼できる時間」という言葉、どこから来ているんですか。
山田さん:早稲田大学高等学院に進学して、小中高とサッカーを続けてきました。人生を振り返った時、燃焼して過ごした時間は昨日のことのように具体的に話せる一方、なんとなく過ごした時間は解像度が低くて何をしたか話せないんです。この違いに気づいたことが、今の経営でも大事にしている価値観につながっています。
——ご両親の影響もあったんですか。
山田さん:両親がともに税理士として個人事務所を営んでいたこともあって、中小企業の経営者と話す姿を間近で見て育ちました。かっこいいなと思っていましたし、自分もそうなりたいと何となく思っていたかもしれません。
誠実であること、燃焼できる環境をつくること
経営で大切にしている2つの価値観
——経営において大切にしている価値観は。
山田さん:大きく2つあります。1つは、ひたすらに誠実であること。不誠実にすることで短期的に楽ができる部分はあるかもしれないけれど、結局それは自分に返ってくる。誠実であると決めれば、物事はシンプルになるんです。
——もう1つは。
山田さん:メンバーが「燃焼できる空間」をつくることです。会社にいる2年、3年という限られた時間を、後から振り返って良かったと思ってもらえるように。働く時間の長さではなく、密度の濃さで燃焼してほしいんです。この価値観の根底には、自分自身がPwC、Googleを経て独立するまでのキャリアで得た実感があります。
Googleで気づかされた、自分の弱さ
「辞める」と言えなかった自分
——Google時代、印象的な出来事はありますか。
山田さん:入社当初から「3年で辞める」と周囲に公言していたんですが、実際にその時期が近づくと足がすくんだんです。マネージャーとの面談でも「辞める」と言えない自分がいました。
——そこからどう乗り越えたんですか。
山田さん:独立したい、チャレンジしたいと言ってるだけで、その可能性の中に生きている自分が好きだったんだなと気づいたんです。大きな会社の中で安全に生きている自分が好きだった。この弱さを認めるまでには心の整理が必要でしたが、認めた瞬間に心が軽くなって、より現実的に独立を考えられるようになりました。
海外転職のオファーを断ってからの覚悟
手放せば始まる
——独立前、海外転職の話もあったとか。
山田さん:独立を決断する前、社内でアメリカ転勤のポジションを探していた時期もありました。結果的にアメリカのビザ取得は叶わなかったんですが、カナダのトロントとアイルランドのダブリンからオファーを得ていたんです。それでも最終的に断って、独立を選びました。
——なぜ断れたんですか。
山田さん:せっかく手に入れた海外のチャンスに対して、ノーと言ってでも辞めるという覚悟が決まったんです。加えて、メンターの「経営者と同じ目線で話せるようになりたかったから独立した」という言葉に強く共感したことも、独立への後押しになりました。
会社員時代の経験は「自分の強みになっている」
即レスと報告——当たり前が独立後の武器になった
——PwC、Googleでのご経験について教えてください。
山田さん:PwCではM&Aのクロスボーダー案件を中心に約1年半、その後Googleの中小企業向け広告営業部門で約4年半勤務しました。特にGoogleでは、日々5〜6人の中小企業経営者と向き合い、広告のパフォーマンスをレビューしながら事業成長に伴走する仕事を経験したんです。本当に素晴らしい方ばかりで、自分もそうなりたいと心から思いました。この方たちにできるなら、自分にもできるだろうと思えたんです。
——独立してから、その経験がどう活きていますか。
山田さん:独立してみて改めて感じるのは、会社員時代の経験そのものが強みになっているということです。即レスする、報告を守る、社内フローを理解して相手のレイヤーに合わせて話す言葉を変える。会社員なら当たり前のことも、いきなり独立していたら苦労していたはずです。
10年ぶりのDMから生まれた、初めての正社員採用
サッカー時代の熱量を、もう一度
——直近のトピックスがあれば教えてください。
山田さん:10月1日には、スケール株式会社に初めての正社員が入社します。きっかけは、10年ほど連絡を取っていなかった中学時代の友人からのInstagramのDMだったんです。サッカーをずっと続けてきたその友人は、サラリーマンとして「なんとなくこなせる」日々を送る中で、サッカー時代ほどの熱量で仕事に向き合えていないという悩みを抱えていたそうで。
——どんなやり取りがあったんですか。
山田さん:「コウスケがいろいろチャレンジしてるみたいだから話を聞きたい」と連絡をもらって、意気投合しました。この経緯は、僕自身がインスタのDMをきっかけに人生ぶち上げチャンネルの取材につながったのと、同じ構造だなと思っています。
労働集約から脱却し、仕組みで拡大する難しさ
10倍と100倍、その先にある壁
——今の経営課題は。
山田さん:労働集約的なビジネスモデルからの転換ですね。自分が動けば売上にはなるし、メンバーに仕事を割り振ることもできる。でも会社を今の10倍、100倍にしようと思ったら、人に依存しないサービスや仕組みが必要になるんです。10億円規模までは今の延長線上で見えても、100億、200億円となると全く違う次元の話だと感じています。
「やってみると、意外と大したことない」——読者へのメッセージは
全てのことは、やるまでが一番難しい
——一歩を踏み出せない読者に、伝えたいことはありますか。
山田さん:昔すごいと思っていたアメリカでの生活も、Googleも、起業も、細かく分解すれば普通の人たちが積み重ねてやっていることなんです。やる前は難しく見えるけど、全てのことはやるまでが一番難しい。
——行動できるようになった転機はあったんですか。
山田さん:ごく小さな習慣でした。自分との約束を守ること。ジムに行く、何時までに起きると決めて守る。それだけで自己肯定感や自信が湧いてくるんです。過去の自分との約束を守れた人間なら、今できないと思っていることもできるかもしれないと、少しずつ思えるようになります。
中学受験の挫折から始まり、サッカーで培った「燃焼できる時間」という価値観を胸に、PwC、Googleという大きな組織で力を蓄えた山田さん。安全な場所に留まりたい自分の弱さと向き合い、海外転職のオファーさえも手放して選んだのは、中小企業の力を解放するという道だった。誠実であることと、燃焼できる環境をつくること。その2つを軸に、山田さんは今日も歩みを進めている。
会社概要
会社名:スケール株式会社
代表:山田皓祐
事業内容:マーケティング・人材紹介事業を中心とした中小企業支援
ビジョン:日本の素晴らしい価値を、AIの力で”Scale”させる
取材・文:佐藤大遥(株式会社One Rep)
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