2026.07.14ぶち上げインタビュー

ぶち上げインタビュー「意思決定の自由が溢れた世界を、共につくりたい」——女性が“場所”を選ばず輝ける船を率いる経営者。株式会社MindShip・河田竜治さん

「意思決定の自由が溢れた世界を、共につくりたい」——女性が“場所”を選ばず輝ける船を率いる経営者。株式会社MindShip・河田竜治さん

人生は、今日も明日も明後日も、選択の連続だ。 東京・渋谷に拠点を構える株式会社MindShip。女性特化型のリモートセールス(コールセンター)事業を主軸に、ブライダルの営業代行、そしてブライダル人材を他業界へと送り出すキャスティング事業——この三本柱を率いるのが、代表取締役の河田竜治(かわだ りゅうじ)さんだ。 岐阜県に生まれ、少年時代は365日を野球に、高

この記事の要点

  • 01それでも今、河田さんは「意思決定の自由が溢れた世界を共に創り出す」というビジョンを掲げ、同じ価値観の仲間達と“船”を進めている。
  • 02成長角度と組織が合わないと会社はこうなるのか、ということも含めて、本当にいろんな経験をさせてもらいました。
  • 03だから僕らのKPIは、実は売上というより「価値観の合う仲間の数」だと定義している。

※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。

人生は、今日も明日も明後日も、選択の連続だ。

東京・渋谷に拠点を構える株式会社MindShip。女性特化型のリモートセールス(コールセンター)事業を主軸に、ブライダルの営業代行、そしてブライダル人材を他業界へと送り出すキャスティング事業——この三本柱を率いるのが、代表取締役の河田竜治(かわだ りゅうじ)さんだ。

岐阜県に生まれ、少年時代は365日を野球に、高校ではラグビーに捧げた根っからのスポーツマン。就職活動を一切せず、テレビで見た一社のブライダルベンチャーに自ら飛び込み、10年半でトップ営業から執行役員まで駆け上がった。コロナ禍で独立し、資金が底をつく「死ぬ寸前」も経験。それでも今、河田さんは「意思決定の自由が溢れた世界を共に創り出す」というビジョンを掲げ、同じ価値観の仲間達と“船”を進めている。

過去・現在・未来——その時間軸に沿って、河田さんの哲学と熱を伺った。

【プロフィール】

会社名:株式会社MindShip

役職:代表取締役

氏名:河田竜治(かわだ りゅうじ)

まずは、いまの事業の全体像から——三本柱が描く一貫性

リモートセールス、ブライダル、そしてキャスティング

——まず、御社の事業内容を教えてください。

河田さん:主に三つの軸でやっています。一つ目が、売上比率としては一番大きいリモートセールス事業。女性特化型のコールセンターで、法人向けの営業電話に特化しています。フルリモートで、いまは6対4くらいで女性が6割、男性が4割という構成です。二つ目がブライダル事業。これはブライダルフェアに来館される新郎新婦に対しての営業代行で、弊社のメンバーが月100本ほど現場に出ています。そして三つ目が、去年9月に立ち上げたブライダルスタッフのキャスティング事業です。

——なぜ「フルリモート」や「女性特化」にこだわったのでしょう。

河田さん:僕はブライダル時代、多くの女性と働いてきました。ブライダルって9割が女性の業界で、その優秀さは誰よりも理解しているつもりです。でも一方で離職率がすごく高い。結婚、出産、育児、親の介護……どうしても女性が一時的に社会から断絶されてしまう風潮があるんですよ。ブライダルの仕事はリモートワークはできないのですが、だったら、どこにいても、どんな環境でも、女性が世の中に価値を提供できる場所をつくりたい——そう思ってフルリモートにしました。いまではシングルファーザーの方なども含めて、男性メンバーも活躍してくれています。

原点は岐阜——365日のスポーツが、ビジネスの基盤になった

「あれだけやれば成果が出る」と知った少年時代

——少年期はどんな子どもだったんですか。

河田さん:岐阜県の出身で、小学校・中学校は野球、高校はラグビーをやっていました。野球は親父が監督で、もう365日野球漬けでした。小学生のときに運良く県で優勝できて、県のMVPにも選んでいただいたんです。「あれだけやれば成果が出るんだ」という成功体験を、親父のおかげで積ませてもらいました。これはいまビジネスをやっていても、基盤になっているところだと思います。

——一方で、挫折もあったとか。

河田さん:中学で初めて補欠になったんです。県でMVPを取ってエースで3番バッター、いわば花形だったのが、強豪が合併した中学でベンチになりました。プライドが高かった分、それが最初の挫折でした。でも逃げずに、部活を辞めずに最後までやりきったことが補欠であったとしても野球を続けたことでの誇りに思えるところです。高校ではラグビーをはじめ、足が速かったので岐阜県の選抜選手にも選ばれました。とにかく365日やり続ける体力とマインド、そして「努力すれば必ず何かしらの形で返ってくる」という感覚は、あの頃のスポーツの経験が生きていると、実感しています。

就活ゼロ、テレビで見た一社へ飛び込んだファーストキャリア

「1ヶ月半で全国トップを取るので、新卒で採ってください」

——ファーストキャリアは、どう決めたんですか。

河田さん:実は、就活していないんです(笑)。理由は二つあって、一つは長男で家業の跡取りだったので「なんとかなるやろ」と思っていたことと、もう一つはアパレルが好きで、好きな店でバイトでもしながら……くらいにしか考えていなかったです。そんな大学4年の冬、たまたまテレビ番組で、ある会社のドキュメンタリーを見たんです。『結婚式の二次会をプロが手がけるサービス』を日本で初めて立ち上げた会社で、「面白そうだ」と感じたのを今でも覚えてます。もともと学祭でMCをやるくらい、人を盛り上げることが好きだったので自分にピッタリの仕事だと感じました。

——そこからどう入社へ?

河田さん:調べたら当時その会社は新卒採用をしていませんでした。ですが、なんとかなるだろうと、とりあえず問い合わせたんです。「新卒採用はしていない」と言われたんですが、たまたま代表が東京から来るというので会わせてもらえました。即戦力しか採らない会社で、3ヶ月のトライアルで基準に満たなければ不採用という制度だったので新卒は無理だと言われてしまいました。それなら、と僕から言ったんです。「2月から4月までの1ヶ月半、数字で全国トップレベルを取るので、4月に他の新卒と同じように採用してください」と。卒業旅行にも行かず、インターンのような形で数字を出して、新卒第1号で入社しました。

ブライダルベンチャーで叩き込まれた10年半

6億円が3年で60億円に——急成長の渦中で学んだこと

——その会社にはどのくらい在籍を?

河田さん:10年半、33歳までいました。プランナーではなく、社長から営業と組織づくりを徹底的に叩き込まれたんです。日本で初めて結婚式を半額以下にするサービスを大阪で立ち上げて、これが本当に当たりました。入社時に6億円ほどだった売上が3年で60億円に、社員も20名ほどから200名規模に。成長角度と組織が合わないと会社はこうなるのか、ということも含めて、本当にいろんな経験をさせてもらいました。当時の社長は本当にすごい方で、いまの僕のビジネスの考え方のベースは彼の教えで成り立っています。アジアで一番多くの経営者を輩出する会社にする——そんな思想の中で、「ブライダルを通じて社会をイノベーションする」という理念を20代前半から叩き込まれたんです。だから、独立は自分にとって自然なことでした。

一番きつかった瞬間——降格、吊るし上げ、そして「死ぬ寸前」

プライドを砕かれ、それでも数字で返り咲く

——ビジネスで一番つらかった経験は。

河田さん:まずサラリーマン時代です。25歳で関西のエリアマネージャーになって、大阪・兵庫・京都をまとめる立場になったんです。でもプレイヤーとマネージャーは別のスポーツなんですよ。数字が上がらず、毎週社長に怒られ、初めて降格になった。昨日まで自分が率いていた組織で、新卒よりも下に置かれて、毎朝「掃除を一番に行ってこい」と言われ掃除をしていた時期もありました。給料も下がって、屈辱でしたね。でも「数字を出すので返り咲かせてください」とお願いして、トップを取って2ヶ月後に横浜の立ち上げ責任者になりました。中学で補欠を経験していたことが、ここで効いたと思います。

——独立後にも、危機があったとか。

河田さん:創業がちょうど2020年3月で、その直後にコロナの緊急事態宣言ですから、もろ被りでした。ブライダルなんてできるわけがない。キャッシュはほぼ底をつき、公庫からも「コロナ禍にブライダルで創業するなんて正気の沙汰じゃない、貸せない」とはっきり言われた。他の社長に相談してもお金は貸してもらえない。そんな中で唯一、一人だけ「返さなくていいから頑張れ」とお金をくれた方がいたんです。必ず恩を返せるよう決意した。あれは本当に、死ぬ寸前を見た感じでしたね。

乗り越え方——「意思決定の自由」を手にしたとき、挫折感は消えた

自分で決めて、自分で解釈して生きていく

——その危機を、どう乗り越えたのでしょう。

河田さん:不思議なんですが、独立してからは「挫折」という感覚をあまり持っていないんです。サラリーマン時代も、最後は執行役員として事業を統括していましたが、決めているようで、いろんな人の顔色を伺いながら決めていた。フリーランスの1年も、自由なはずなのに自由を感じられず、正直けっこう病んでしまった。でも独立して、全部自分で決められるようになった。人生は今日も明日も選択の連続で、出た答えがどうであれ、自分で解釈して生きていくしかない。だったら、意思決定できる自由の幅が広くて深いほうが、人生の納得度も幸福度も高いよね、と。それが腑に落ちてからは、資金繰りが厳しい局面はあっても、挫折とは感じなくなりました。

独自性——眠れる人材を、他業界へ解き放つ

「この能力を眠らせておくのは、もったいない」

——去年立ち上げたキャスティング事業は、どんな発想から?

河田さん:ブライダル業界はマーケットが縮小していくんです。日本はもともと結婚式をしない国で、人口も減っている。ここだけに張るのは怖いと感じました。一方で、フリーランスのウェディングプランナーがすごく増えていて、みんな「このままで大丈夫かな」と潜在的に不安を抱えています。でも業界の外へのチャレンジの方法がわからない方が多かったんです。ここで僕は思ったんです。彼女たちは3〜4時間で300万円規模の商材を売る営業力、抜群のホスピタリティ、重労働の世界を生き抜いてきたマインドのタフネスさ、メールも電話対応もできる事務能力。他業界が喉から手が出るほど欲しがる人材なんですよ。この能力をそのまま死なせておくのは、あまりにもったいない。だから留学、ホテル、美容、IT、マーケなどのセールスの仕事を請け負い、彼女たちにお仕事として、お渡しているんです。

——働く側にとっては、選択肢が増えますね。

河田さん:そうなんです。ブライダルをフリーランスで続けながら、違う業界の仕事もできる。つまり「選択の自由」が生まれる。これは、うちのビジョンそのものなんです。

信念——同じ価値観の仲間と乗り込む、一艘の船

KPIは売上ではなく、「価値観の合う仲間の数」

——会社名「MindShip」には、どんな意味が?

河田さん:同じ価値観の者たちと乗り込む船、という意味なんです。だから僕らのKPIは、実は売上というより「価値観の合う仲間の数」だと定義している。ビジョンは「意思決定の自由が溢れた世界を共に創り出す」。ミッション・ビジョン・バリューには「ウィンウィンなギバーであれ」と掲げています。

——どんな人が、御社で活躍していますか。

河田さん:ギバーであること。与えられる人で、それが結果として自分に返ってくると、ちゃんとわかっている人。権利を得る前に、まず義務を果たす人ですね。一言でいえば「損して得取れ」がわかっている人。目の前の小銭じゃなくて、「いいよ、やるよ。ただ未来でなにか返してね」と笑顔で言える——そういう人と、一緒の船に乗りたいんです。

熱狂——ベトナム・ダナンに、もう一つの居場所がある

年に一度の現地、あとはオンライン。それでも「半分は趣味」

——ベトナム・ダナンとのご縁も伺いたいです。

河田さん:4年前、たまたま知り合った映像制作会社の社長さんに誘われてダナンに行ったら、すっかり好きになってしまって。もともとブライダル出身なので、当時どこも手をつけていなかったダナンのウェディングを、いまは立ち上げ寸前まで持ってきています。それと、ダナンには起業家のコミュニティがなかったので、IT起業家が増えている流れに合わせて、コミュニティづくりの一環で日本のセールスやビジネスを教える先生もやっているんです。『令和の虎』のベトナム版に出たのも、その流れですね。

——現地にはよく行かれるんですか。

河田さん:いえ、ダナンには年に一度くらいで、あとは全部オンラインです。でも、海外にこういうつながりがあること自体が、いつか何かしら返ってくると思っていますし、「ダナンに友達がいて、一緒に呑めるベトナム人がいる」って息子に言いたいじゃないですか(笑)。これは正直、半分は趣味ですね。

これからの航海——3倍の組織と、出続ける経営者として

「同じ価値観、志の仲間をこれからも増やしていきたい」

——今後の展望を教えてください。

河田さん:組織は、いまの3倍くらいにはしたいですね。とはいえ、あくまで価値観の合う仲間を増やしていきたい、というのが本筋です。採用面談も営業も、いまも全部自分でやっています。それから、メディアにももっと出ていきたいと思っています。)「日本一若い、41歳」というブランドでやりたいなと思っているんです。笑

読者へのメッセージ——考える前に、やってみる

「やってみた時に、初めて見える世界がある」

——最後に、挑戦したい読者へメッセージを。

河田さん:まずは、やってみる。これに尽きます。「リスクはどうか」「やる意味あるのかな」と、いまの自分のレベルで想像して動かないのは、成長しないと思うんですよ。だって、いまの自分が想像できる範囲で考えたって、その範囲止まりじゃないですか。やってみて初めて「こんな世界があるんだ」と、自分をバージョンアップさせていける。人に誘われても、僕は「行ってみる、やってみる」。嫌だったら嫌でいいし、失敗したら失敗でいい。成功するかもしれない。せっかく人生は一回きりなんだから、動けるうちに動いてみる。それが、人生を歩むということだと思います。

会社概要

会社名:株式会社MindShip

設立:2020年3月2日

代表:河田竜治

事業内容:リモートセールス事業、ブライダル事業、ブライダルスタッフのキャスティング事業

所在地:東京都渋谷区円山町5-5 Navi渋谷V 3F

取材・文:黒澤優一(株式会社One Rep)

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