2026.06.28 / ぶち上げインタビュー
【ぶち上げインタビュー】夢を諦めた瞬間が、新しい夢の始まりだった。世界中のアスリートが使うSNSを作る男。株式会社Emer COO 柴田 駿(しばた しゅん)

神奈川県横浜市出身の柴田駿さん(22歳)は、幼少期からサッカーひと筋に生きてきた。ドリブルを磨き、プロを夢見て単身ブラジルへ渡航。しかし2度のプロテストで現実を突きつけられ、帰国。そこからビジネスの世界へ転換し、大学の同期と共に株式会社EmerのCOOとして、アスリートとファンをつなぐファンメッセージアプリ「UPSTAR(アップスター)」を牽引している。以下
この記事の要点
- 01大学2年生からインターンでテレアポを1年間こなし、大学の同期と共に起業を選んだ。
- 02もちろん大手に入れば、上司の背中を見て学んで成長速度を上げられるという気持ちもあった。
- 03でもインターンの経験から、社員の人を見て学んで自分のものにするスピード感は自分の強みだとわかっていた。
※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。
神奈川県横浜市出身の柴田駿さん(22歳)は、幼少期からサッカーひと筋に生きてきた。ドリブルを磨き、プロを夢見て単身ブラジルへ渡航。しかし2度のプロテストで現実を突きつけられ、帰国。そこからビジネスの世界へ転換し、大学の同期と共に株式会社EmerのCOOとして、アスリートとファンをつなぐファンメッセージアプリ「UPSTAR(アップスター)」を牽引している。以下、柴田さん。
両親は会社員と保育士。経営者一家でもなく、特別なコネもない。偏差値50程度の高校を経て大学へ。入学後すぐにブラジルへ飛び、コテンパンにされながら帰国。大学2年生からインターンでテレアポを1年間こなし、大学の同期と共に起業を選んだ。現在、UPSTARには50名以上のアスリートが登録し、うち40名以上がサッカー選手。「日本代表がワールドカップで優勝した時、その選手がUPSTARで心境を語ってくれること」それが柴田さんの最大級の目標だ。
会社員・保育士の息子が、なぜスポーツテックスタートアップの道を選んだのか。ブラジルで何を見て、何が変わったのか。22歳のCOOが語る、挫折と再起のストーリー。
会社名:株式会社Emer
役職:COO
氏名:柴田 駿(しばた しゅん)
自分を表現できる場所——サッカーとドリブルの話 一人っ子で「わがまま」、でも人の目が怖かった
——まず、どんな幼少期を過ごしたか教えてください。
柴田さん:一人っ子なので、わがままな性格が根本にあると思います。でも同時に、怒られるのが怖くて、人の目をすごく気にする子でもあって。小中高とずっとそのせめぎ合いの中で生きてきた感じですね。
そんな中で、自分を表現できる場所がサッカーだったんです。特にドリブルにひたすら力を入れていて。ボールを触りながら、ピッチの中で発散していくような人生を歩んでました。勉強は偏差値50程度の高校で、成績もザ・普通。両親は会社員と保育士で、経営者一家とは全然縁のない家庭でした。
プロを諦めるために——ブラジルへ旅立った本音 「世界で試したい」という建前と、もう一つの理由
——大学入学後すぐにブラジルへ渡航したそうですね。どんな理由があったんですか?
柴田さん:表向きは「世界で自分を試したかった」ということなんですけど、本音でいうと……プロを諦めるためのシナリオを作りたかったんです。
ずっとプロになりたいという憧れはあった。でも神奈川県の中でそれほど強いチームでやっていたわけでもなかったし、現実とのギャップは自分でもわかっていた。だから「ブラジルに行ってダメでした」という落とし前をつけるために行ったというのが、正直なところです。
最初は大学1年の夏に1ヶ月間の留学。帰ってきてダメだったってなるはずが、行ってみたら「ここでプロになれればワールドカップに近づく」という感覚があって。もう一回ちゃんと試したいと思い、1年生が終わるタイミングで今度はプロテストを受けに、また1ヶ月間渡航しました。
「俺がお前を金持ちにさせてやる」——ブラジルで見た世界 技術ではなく、メンタルが違った
——2回目のブラジルはどうでしたか?
柴田さん:もっとダメでした(笑)。そのチームがたまたまスペイン遠征を控えていて、ブラジル中から優秀な選手たちが集まってきていたんです。コテンパンにされて、自分のレベルがはっきりわかる経験でした。
技術的な差はそれほど大きくなかったんです。身長が高い選手ばかりというわけでもないし。でも、かけている思いが根本から違った。生活がかかっている、人生がかかっている、そのハングリーさが全然違いました。
——具体的に印象に残っているシーンはありますか?
柴田さん:最初に現地の選手から言われた言葉があって。「俺がお前を金持ちにさせてやる」って言うんです。「どういう意味だ?」と思って日本人のチームメイトに聞いたら、「俺がお前にアシストして、お前を得点王にして、金持ちにさせてやる」という意味だったと。
で、そう言った直後、彼は相手の股を抜くパスを通して、僕と相手GKとの一対一のシーンを作ってくれたんです。僕は決められなかったんですけど(苦笑)。それがブラジルか、というのを全身で感じた瞬間でした。コンフィデンスが違いすぎる。そこで折れたというか、割り切れた部分がありましたね。
ビジネスの一年生として——テレアポ1年間の日々 焦りの中でコツコツと積み上げた
——帰国後、どうビジネスの世界に入っていったんですか?
柴田さん:ブラジルで思いっきり打ちのめされたので、「自分が生きる場所がここじゃなかった」という割り切りは一定できた。だからビジネスの世界では完全な一年生として捉えて、コツコツできることをやっていこうと。
大学2年生の6月頃から、Wantedlyでインターンを探して始めたのが留学エージェントの営業でした。ひたすらテレアポ。それを1年間続けました。周りもインターンをしていたので焦りはあったんですが、本を読む習慣もこの頃についた。今振り返ると、あの時間が土台になっています。
なぜ就活ではなく、起業だったのか 内定をもらいながらも、熱量が持てたのはUPSTARだけだった
——就活もされていたと聞きました。なぜ新卒起業を選んだんですか?
柴田さん:就活もしていて、内定をいただける企業様もあったんです。でも就活をしていく中で、自分が当事者意識を持って、熱量を持って取り組めるのはUPSTARにしかないとわかってしまって。
もちろん大手に入れば、上司の背中を見て学んで成長速度を上げられるという気持ちもあった。でもインターンの経験から、社員の人を見て学んで自分のものにするスピード感は自分の強みだとわかっていた。だったら熱量がある場所、自分が成し遂げたい世界に飛び込もうと。
代表とは大学の同期で、1年生の時に必ず寮に入らなきゃいけないというルールがあって、一緒に寮生活を1年間過ごした中で一番仲のいい友人の一人でした。彼がもともとライブ配信の事業をしていて、僕も現地でたまに手伝っていた。そのタイミングでUPSTARへのピボットと最初の資金調達が重なって、正式に入社することになりました。
スポーツ選手の「裏側」と「思い」を届ける 結果でしか評価されない業界に、もう一つの側面を
——UPSTARはどんなサービスですか?
柴田さん:ファンコミュニティアプリで、アスリートがメッセージを発信して、そのメッセージを見るためにファンの方々に月額課金していただく仕組みです。クローズドな環境で、アプリでコミュニケーションが取れる。
アスリートって、結果でしか評価されない業界じゃないですか。でも選手には試合では見えない裏側や葛藤、思いがある。それを選手が手軽に、負担なく発信できる環境を提供しています。今は50名以上と契約していて、そのうち40名以上がサッカー選手ですね。
——選手はどうやって獲得しているんですか?
柴田さん:基本的に紹介だけでやっています。毎回選手との面談をセッティングして、その選手のこれまでの歩みを聞くんです。その中で実際、選手の方々の経歴やこれまでの意思決定の時の感情などを聞くと「こんなに気持ちよく話させてもらっていいんですか?」と言ってもらえることもあって、そこがサービスの本質だと思っています。ビジネスモデル上は多くのファンを抱える選手の獲得が重要ですが、選手のストーリーや思いは絶対に外せない。
コアファンの次へ——無関心層をどう巻き込むか 今一番フォーカスすべき課題
——事業を進める中で、今一番難しいと感じている課題は何ですか?
柴田さん:コアファンの方々には喜んでもらえるプロダクトになってきています。選手の負担を抑えながら、ファンに好まれる形もできてきた。でも次のステップとして、ライトファンをどうファンにするか、無関心層をどれだけファンとして巻き込めるか、この二軸が今一番取り組みたいところです。選手をどれだけ増やせるかが事業の規模を決める部分でもあるので、まずはそこが目下の課題です。
日本代表がW杯で優勝する日——最大級の目標
——会社として、個人として、どんな未来を目指していますか?
柴田さん:会社としては、世界中のアスリートが使うSNSというポジションを本当に世界で目指しています。
個人としては、日本代表がサッカーワールドカップで優勝すると信じているので、その時に代表選手がUPSTARを当たり前のように使っていて、優勝した瞬間の心境や、そこに隠れたお話をUPSTARで発信してもらうこと。それが最大級の目標ですね。大きすぎる目標かもしれないけど、本気でそこを目指してやっています。
一緒に、頑張りましょう 同世代ビジネスパーソンへのメッセージ
——最後に、同世代のビジネスパーソンやアスリートへ一言お願いします。
柴田さん:「一緒に頑張りましょう」という言葉になってしまうんですけど、まだまだ僕もこれからで。大学を出た後って、なかなか切磋琢磨できる同世代の仲間と出会いにくくなる。利害関係が生まれてしまう。だからこそ、純粋に刺激し合える関係を作っていきたいと思っています。偉そうに何かを語れる立場じゃない。僕も頑張るので、皆さんも一緒に頑張りましょう、という気持ちです。
会社概要
会社名:株式会社Emer
事業内容:スポーツテック事業(ファンメッセージアプリ「UPSTAR」運営、スポーツライブ配信事業)
代表:板本大輝(いたもと ひろき)
取材:河本龍真 文:佐藤大遥(株式会社One Rep)
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